親や親族から農地や山林を相続したものの、「自分は農業をしていない」「現地が遠方で管理できない」「そもそもどこにどれだけの土地があるのか把握できていない」といったお悩みを抱えるオーナー様は少なくありません。農地や山林は、一般的な宅地とは異なる法律のルールが適用され、相続後にも農業委員会や市町村への届出義務が生じます。手続きを知らずに放置してしまうと、過料の対象になったり、固定資産税や管理の負担だけが毎年積み重なっていったりすることがあります。

本記事では、ヘリテージリンクが、農地・山林を相続した際に必要な手続き、相続税の納税猶予制度、売却や転用による処分、そして2023年に始まった相続土地国庫帰属制度までを、根拠となる法令の条文番号や施行年とあわせて客観的に整理します。制度の概要をつかんだうえで、ご自身のケースに合った進め方を検討する際の出発点としてお役立ていただければ幸いです。

⚠️ 注意
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税額・負担金・手続きの可否を保証するものではありません。実際のご判断にあたっては、税理士・司法書士・行政書士・弁護士などの専門家や、管轄の行政機関にご確認ください。

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第1章 農地・山林の相続の基礎知識

🎯 この章で解説すること
農地や山林の相続が宅地と何が違うのか、相続後に必要となる届出義務、そして関係する主な法令を整理します。まずは「自分の相続に、どのルールが関わってくるのか」の全体像をつかんでいきましょう。

農地・山林の相続が「特殊」とされる理由

農地や山林は、国民の食料供給や国土の保全といった公共的な役割を担う土地です。そのため、売買・贈与・転用などには農地法や森林法による一定の制限が設けられています。一方で、相続そのものは、人の死亡により当然に発生する権利移転であり、当事者の意思で行う売買などとは性質が異なります。

この点が、農地・山林の相続を理解するうえで最初のポイントになります。通常、農地を取得して権利移転するには農地法第3条の許可が必要ですが、相続による取得については農地法第3条の許可は不要です。亡くなった方の意思とは無関係に法律上当然に承継されるため、許可制になじまないからです。ただし、許可が不要である代わりに、別途「届出」が義務づけられています。

農地を相続したら ― 農業委員会への届出(農地法第3条の3)

農地(採草放牧地を含みます)を相続によって取得した方は、その農地のある市町村の農業委員会へ届け出る義務があります。これは平成21年(2009年)の農地法改正で導入された制度で、農地法第3条の3に定められています。届出の期限は、権利を取得したことを知った時点からおおむね10ヶ月以内とされています。

📖 農地法 第3条の3(抜粋・要旨)
「農地又は採草放牧地について第3条第1項本文に掲げる権利を取得した者は、相続その他の事由で同項の許可を要しないで取得した場合には、遅滞なく、その農地等の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。」
(届出は、農林水産省令で定めるところにより、おおむね10ヶ月以内に行うものとされています。)

この届出は、農業委員会が地域の農地の所有者や利用状況を把握し、適正な農地利用や担い手への集約を進めるための仕組みです。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。なお、この届出は権利取得の効力そのものを発生させるものではなく、あくまで行政への報告という位置づけです。

💡 ポイント
相続登記(不動産の名義変更)と農業委員会への届出は別の手続きです。2024年4月から相続登記が義務化されたこともあり、農地を相続した場合は「相続登記」と「農地法第3条の3の届出」の両方を意識しておくと安心です。

山林を相続したら ― 市町村への届出(森林法第10条の7の2)

森林(山林)の土地を新たに取得した方には、市町村長への届出義務があります。これは平成24年(2012年)4月に施行された「森林の土地の所有者届出制度」で、森林法第10条の7の2に定められています。売買だけでなく相続による取得も対象で、届出の期限は土地の所有者となった日から90日以内です。

📖 森林法 第10条の7の2(抜粋・要旨)
「地域森林計画の対象となっている森林の土地の所有者となった者は、原則として、その所有者となった日から90日以内に、農林水産省令で定める手続に従い、市町村の長にその旨を届け出なければならない。」

対象となるのは、地域森林計画の対象となっている森林で、面積の大小にかかわらず届出が必要です。相続で取得し、まだ遺産分割が済んでいない場合でも、法定相続人の共有として届け出ることになります。この届出を怠った場合も、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。なお、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を行っている場合は対象外とされています。

⚠️ 注意
農地は「相続を知った時点からおおむね10ヶ月以内・農業委員会」、山林は「所有者となった日から90日以内・市町村長」と、期限も窓口も異なります。期間を取り違えないようご注意ください。

✅ 本章のまとめ
・相続による農地・山林の取得に農地法第3条の許可は不要だが、別途届出が必要
・農地は農地法第3条の3で農業委員会へ(おおむね10ヶ月以内)、山林は森林法第10条の7の2で市町村へ(90日以内)
・いずれも怠ると10万円以下の過料の対象となり得る

第2章 農地・山林をめぐる現状と課題

🎯 この章で解説すること
相続した農地・山林を「使えない・売れない・管理できない」まま抱え込んでしまう背景と、放置によって生じる具体的な負担を整理します。課題を直視することが、適切な解決策を選ぶ第一歩になります。

なぜ農地・山林は放置されやすいのか

相続したオーナー様自身が農林業に従事していない場合、農地や山林は活用の手段が限られます。農地は農地法によって用途や売却先に制限があり、宅地のように自由に売買できるわけではありません。山林は、現地が急峻であったり、林道から遠かったりすると、立木の伐採・搬出に費用がかかり、木材を売っても採算が合わないケースもあります。

加えて、農地・山林は境界が不明確なまま代々受け継がれていることが多く、隣地との境界確定や測量に手間と費用が必要になる場面も少なくありません。こうした事情が重なり、「とりあえずそのまま」という状態が続きやすいのが実情です。

耕作放棄地・所有者不明土地の広がり

農林水産省の統計では、耕作されなくなった農地(荒廃農地・耕作放棄地)が長期にわたり相当規模で存在し続けていることが報告されています。また、相続登記がされないまま世代を重ねた結果、登記簿上の所有者がたどれない「所有者不明土地」が全国的な課題となっています。こうした背景が、相続登記の義務化(2024年4月施行)や相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行)といった近年の制度創設につながっています。

💡 ポイント
「使っていないから関係ない」と考えていても、相続が複数世代にわたって積み重なると、いざ手放そうとしたときに相続人が数十人規模に膨らみ、手続きが極めて困難になることがあります。問題が小さいうちに整理を進めることが、結果的に負担を抑えることにつながります。

放置に伴う固定資産税と管理の負担

農地・山林は宅地に比べて固定資産税の評価額が低い傾向にあり、税負担そのものは小さい場合もあります。しかし、税額がわずかであっても毎年継続して発生し続ける点に変わりはありません。さらに、管理を怠ると次のような負担やリスクが生じ得ます。

☐ 雑草・竹林の繁茂による近隣農地・住宅への影響
☐ 倒木・土砂崩れなど、隣地や道路への被害リスク
☐ 不法投棄や害獣の住み着きによる環境悪化
☐ 境界が不明確なことによる、将来の売却・分割の困難化
☐ 相続人が増え続けることによる、合意形成コストの増大

特に山林の倒木や農地ののり面崩壊などで第三者に損害が生じた場合、土地の管理状況によっては所有者が責任を問われる可能性もあります。「保有しているだけ」のつもりでも、潜在的な負担を抱えている点に留意が必要です。

✅ 本章のまとめ
・農地・山林は法的制限や立地条件から活用・売却が難しく、放置されやすい
・耕作放棄地や所有者不明土地の広がりが、近年の制度創設の背景にある
・税額が小さくても負担は毎年続き、管理を怠ると近隣への影響や責任リスクが生じ得る

第3章 解決策 ― 営農継続・売却転用・国庫帰属/引取

🎯 この章で解説すること
相続した農地・山林について、代表的な3つの方向性(A:営農継続と納税猶予/B:売却・転用/C:国庫帰属・専門業者による引取)を、手順・費用・期間の観点から整理し、比較表でまとめます。それぞれの向き・不向きを見極めていきましょう。

解決策A:営農を継続し、相続税の納税猶予を活用する

相続人自身が農業を続ける意思がある場合に検討できるのが、農地等についての相続税の納税猶予制度です。これは租税特別措置法第70条の6に定められた制度で、農業を営んでいた被相続人から農地等を相続した「農業相続人」が、引き続き農業を営む場合に、一定の相続税の納税が猶予されるものです。

📖 租税特別措置法 第70条の6(要旨)
「農業を営んでいた被相続人から相続又は遺贈により農地等を取得した農業相続人が、その農地等で引き続き農業を営む場合には、一定の要件のもとで、農業投資価格による課税額を超える部分の相続税の納税が猶予される。」

猶予された相続税は、一定の要件を満たした場合に最終的に免除されます。免除の条件となる営農継続の期間は、農地の所在地などにより異なり、終身の営農を要する場合や、20年の営農継続で免除となる場合があります(地域区分により取扱いが分かれます)。

🚨 重要な注意
納税猶予を受けた農地を、途中で譲渡・転用・貸付け・耕作放棄した場合などには、猶予されていた相続税に加えて利子税の納付が必要になることがあります。「猶予」はあくまで条件付きであり、要件を満たし続けることが前提です。適用の可否や具体的な税額は、必ず税理士や所轄の税務署にご確認ください。

この制度は、農業を本気で継続する意思のある方にとっては大きな後押しになり得ます。一方で、「将来的に売却・転用するかもしれない」「営農を続けられるか分からない」という場合には、要件を満たせなくなったときの負担も含めて慎重な検討が必要です。

解決策B:売却・転用する

農業を継続しない場合、農地を売却したり、宅地など他の用途へ転用したりする方法があります。ただし農地の売買・転用には農地法の規制があり、「誰に・どう使うか」によって必要な手続きが変わります

まず、農地を農地のまま他人に売る(権利移転する)場合は農地法第3条の許可が必要です。次に、農地を農地以外に転用する場合は、農地法第4条(自分で転用する場合)または第5条(売却・貸付けを伴って転用する場合)の手続きが必要になります。

条文 場面 市街化区域外 市街化区域内
農地法第3条 農地を農地のまま権利移転 許可 許可
農地法第4条 所有者自身が農地を転用 許可(原則 都道府県知事等) 農業委員会への届出
農地法第5条 転用目的で権利移転 許可(原則 都道府県知事等) 農業委員会への届出

ポイントは、市街化区域内かどうかで取扱いが大きく異なる点です。市街化を進める区域である市街化区域内の農地は、転用について許可ではなく農業委員会への届出で足ります。一方、市街化調整区域や非線引き区域などでは、原則として都道府県知事等の許可が必要で、農地の区分によっては転用が認められないこともあります。

山林については農地法のような転用許可制度はありませんが、立木の伐採には森林法に基づく届出(伐採及び伐採後の造林の届出)が必要になる場合があります。山林の売却は、地形・搬出条件・境界の状況により価格や成約しやすさが大きく変わる点に注意が必要です。

⚠️ 注意
農地の区分(農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地など)によっては、原則として転用が認められない場合があります。売却・転用の見通しを立てる前に、農業委員会や行政書士に農地区分を確認することをおすすめします。

解決策C:国庫帰属制度・専門業者による引取で手放す

「営農もしない、売却先も見つからない」という場合の選択肢として、2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度があります。これは「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号、令和5年〔2023年〕4月27日施行)に基づく制度で、相続または遺贈で土地を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、その土地を国に引き取ってもらえる仕組みです。農地・山林も対象になり得ます。

📖 相続土地国庫帰属法(要旨)
「相続又は遺贈により土地の所有権を取得した相続人は、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる。承認を受けた者は、負担金を納付しなければならない。」(令和5年4月27日施行)

ただし、この制度には引き取ってもらえない土地の要件が定められており、どんな土地でも国が引き取るわけではありません。法務省の公表内容によると、主な要件は次のとおりです。

申請の段階で却下される土地(却下事由)の例

☐ 建物がある土地
☐ 担保権や使用収益権が設定されている土地
☐ 他人の利用が予定されている土地
☐ 土壌汚染されている土地
☐ 境界が明らかでない、所有権の存否・範囲に争いがある土地

審査の結果、承認されない土地(不承認事由)の例

☐ 一定の勾配・高さの崖があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地
☐ 管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
☐ 除去すべき有体物が地下にある土地
☐ 隣接地所有者との争訟が必要となる土地
☐ その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地

承認を受けた場合には、負担金の納付が必要です。負担金は「国有地の種目ごとに、その管理に要する10年分の標準的な費用」を基準に算定され、宅地・田畑・森林などの種目ごとに定められています。多くの土地では1筆あたり20万円が基本となる一方、市街地の宅地・農用地区域内の農地・森林などは面積に応じて算定される場合があり、面積によっては20万円を超えることもあります。具体的な金額は土地の種目・面積・所在により異なるため、あくまで「目安」としてとらえ、申請前に法務局へご確認ください。

🚨 重要な注意
国庫帰属制度は要件が厳格で、特に山林は「人工林の間伐状況」「天然林の標準伐期齢」などが審査され、農地は農用地区域内かどうかで負担金算定が変わるなど、農地・山林ならではの確認事項があります。申請に必要な測量・書類作成にも手間と費用がかかるため、「手放したい土地がそのまま要件を満たすとは限らない」点に十分ご注意ください。詳しい却下・不承認の傾向は、国庫帰属の却下事例の解説記事もあわせてご参照ください。

国庫帰属制度の全体像については相続土地国庫帰属制度の解説記事で詳しく整理しています。要件を満たさない土地や、手続きの手間を避けたい場合には、後述する専門業者による引取という選択肢も検討の余地があります。

3つの解決策の比較

項目 A 営農継続+納税猶予 B 売却・転用 C 国庫帰属/引取
向いている方 農業を続ける意思がある 立地・条件が良く買手が見込める 活用も売却も難しく手放したい
主な手続き 納税猶予の申告・継続届出 農地法3条・4条・5条等 国庫帰属申請/業者との売買契約
費用の目安 申告・継続管理コスト 測量・仲介手数料等 負担金(目安1筆20万円〜)等
期間の目安 長期(営農継続が前提) 数ヶ月〜(許可期間に左右) 審査を含め数ヶ月〜
留意点 途中で要件を欠くと猶予打切り 区分により転用不可の場合あり 要件が厳格で対象外の土地も多い
💡 ポイント
どの方法が適しているかは、土地の立地・区分・状態、相続人の意向、税負担の状況によって変わります。複数の選択肢を並行して検討し、メリットと負担を比較したうえで判断することが大切です。

✅ 本章のまとめ
・営農継続なら措置法70条の6の納税猶予が選択肢だが、要件を欠くと利子税付きで打切りの可能性
・売却・転用は農地法3条・4条・5条が関わり、市街化区域内外で手続きが異なる
・手放す場合は国庫帰属制度(2023年施行)か専門業者の引取を検討。国庫帰属は要件が厳格

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第4章 ケースで見る農地・山林相続

🎯 この章で解説すること
これまでの内容を踏まえ、典型的な3つのケースを通じて、判断の流れを具体的にイメージしていきます。なお、以下はいずれも一般的な状況を想定した仮の事例であり、特定の個人を指すものではありません。

📋 ケース:佐藤さん(58歳・関東地方)
会社員の佐藤さんは、父から市街化調整区域の農地約2,000㎡を相続しました。ご自身は農業をしておらず、当面営農の予定もありません。まず農業委員会へ農地法第3条の3の届出を行ったうえで、売却・転用の可否を確認したところ、農地区分の制約から自由な転用は難しいことが分かりました。そこで佐藤さんは、近隣の担い手農家への売却(農地法第3条許可)と、引取による処分の両面で検討を進めることにしました。

このケースのポイントは、まず届出を済ませ、次に農地区分を確認してから処分方針を決めた点です。農地は区分によって取り得る選択肢が変わるため、最初に「自分の農地がどの区分か」を把握することが、遠回りを避けるうえで有効です。

📋 ケース:鈴木さん(65歳・東海地方)
専業農家だった母から、まとまった農地を相続した鈴木さん。ご自身も定年後に就農しており、今後も農業を続ける意思が固まっていました。税理士に相談のうえ、措置法第70条の6に基づく相続税の納税猶予の適用を受ける方針とし、必要な申告と継続届出の手続きを進めました。一方で、「将来、農業を続けられなくなった場合に猶予が打ち切られる可能性」についても説明を受け、長期の見通しを立てたうえで判断しました。

納税猶予は税負担の軽減につながり得る一方、営農継続が前提の条件付き制度です。鈴木さんのように、続けられる見通しと、続けられなくなった場合の影響の両方を理解したうえで選択することが重要です。

📋 ケース:田中さん(70歳・関東地方)
田中さんは、遠方にある山林数筆を相続しました。現地は急傾斜で林道から遠く、立木を売っても採算が見込めない状態です。まず森林法第10条の7の2に基づき市町村へ届出を行ったうえで、国庫帰属制度の利用を検討しましたが、境界の不明確さや審査要件の確認に手間がかかることが分かりました。そこで田中さんは、処分の難しい山林の引取に対応する専門業者への相談も並行して進めることにしました。

山林は立地条件と境界の状況が処分のしやすさを大きく左右します。国庫帰属制度は有力な選択肢ですが、要件を満たすための準備にも相応の負担がかかるため、専門業者による引取とあわせて比較検討する価値があります。

✅ 本章のまとめ
・まず届出を済ませ、農地区分・立地条件を確認してから処分方針を決めるのが基本
・納税猶予は営農継続が前提の条件付き制度であることを理解して選ぶ
・処分困難な山林は、国庫帰属と専門業者の引取を並行して比較検討すると選択肢が広がる

第5章 よくあるご質問(Q&A)

🎯 この章で解説すること
農地・山林の相続について、オーナー様から寄せられることの多いご質問を整理しました。個別の事情によって取扱いが変わる場合があるため、最終的なご判断は専門家にご確認ください。

Q1. 農地を相続したら、農地法第3条の許可は必要ですか?

相続による取得には農地法第3条の許可は不要です。その代わり、農地法第3条の3に基づき、農業委員会への届出(おおむね10ヶ月以内)が必要になります。

Q2. 届出を忘れていた場合はどうなりますか?

農地(第3条の3)・山林(第10条の7の2)いずれの届出も、怠った場合や虚偽の届出をした場合には10万円以下の過料の対象となり得ます。気づいた時点で速やかに管轄窓口へご相談ください。

Q3. 山林の届出はどこに、いつまでに行いますか?

森林法第10条の7の2に基づき、土地の所有者となった日から90日以内に、その森林のある市町村長へ届け出ます。面積の大小にかかわらず対象となります。

Q4. 相続税の納税猶予を受けると、税金はゼロになりますか?

納税猶予は税が即座に消えるわけではなく、一定の営農継続などの要件を満たした場合に最終的に免除されます。途中で要件を欠くと、猶予分に利子税を加えた納付が必要になることがあります。具体的な税額は税理士・税務署にご確認ください。

Q5. 農地を宅地にして売りたいのですが、どうすればよいですか?

農地を転用する場合、所有者自身が転用するなら農地法第4条、売却・貸付けを伴うなら第5条の手続きが必要です。市街化区域内では届出、市街化区域外では原則として許可となり、農地区分によっては転用が認められないこともあります。

Q6. 相続土地国庫帰属制度を使えば、どんな農地・山林も引き取ってもらえますか?

いいえ。建物がある、境界が不明確、管理に過分な費用がかかる崖地など、却下・不承認となる要件が定められています。農地・山林は要件確認の負担も大きいため、対象となるかを事前に確認することが重要です。

Q7. 国庫帰属の負担金はいくらですか?

多くの土地で1筆あたり20万円が基本ですが、市街地の宅地・農用地区域内の農地・森林などは面積に応じて算定され、20万円を超える場合もあります。あくまで目安であり、正確な金額は法務局にご確認ください。

Q8. 相続放棄すれば、いらない農地・山林の問題は解決しますか?

相続放棄は被相続人の財産・債務を一切承継しない手続きで、原則として相続を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で行います。ただし、預貯金など他のプラスの財産も含めて放棄することになる点や、放棄後も次順位者が決まるまで一定の管理義務が残り得る点に注意が必要です。詳しくは相続放棄する前の選択肢の解説記事もご参照ください。

Q9. 相続登記はしなければいけませんか?

2024年4月から相続登記が義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内の登記申請が求められます。農地・山林も対象です。なお、相続登記と農業委員会・市町村への届出は別の手続きである点にご注意ください。

Q10. 農地・山林の評価額が分からず、相続税が心配です。

農地・山林は評価方法が宅地と異なり、地目や区分によって取扱いが分かれます。相続税申告における不動産評価の考え方は相続税申告と不動産評価の解説記事でも整理していますので、あわせてご覧ください。

✅ 本章のまとめ
・相続による農地取得は許可不要だが届出は必要、山林は90日以内に市町村へ
・納税猶予・国庫帰属はいずれも条件付きで、要件確認が欠かせない
・相続放棄・相続登記など関連手続きとあわせて全体像をとらえることが大切

第6章 農地・山林の相続でお困りなら、ヘリテージリンクへ

🎯 この章で解説すること
処分の難しい農地・山林について、ヘリテージリンクがどのようにオーナー様をサポートできるのか、対応の方針とご相談の流れをご紹介します。

処分困難な不動産にこそ向き合います

ヘリテージリンクは、東京・埼玉を中心に、相続不動産や一般的な市場では売却が難しい不要不動産のご相談に対応しています。立地条件の悪い山林、区分の制約がある農地、境界が不明確な土地など、「どこに相談してよいか分からない」物件についても、まずは状況をうかがったうえで、取り得る選択肢を一緒に整理いたします。

国庫帰属制度の要件に合わない土地や、申請準備の負担を避けたいというオーナー様に対しては、当社による引取という形での処分もご相談いただけます。営農継続・売却・転用・国庫帰属・引取といった複数の方向性を比較しながら、オーナー様のご事情に沿った進め方を検討します。

ご相談の流れ

☐ STEP1 お問い合わせ(フォームよりご連絡)
☐ STEP2 土地の所在・地目・区分・状況のヒアリング
☐ STEP3 取り得る選択肢のご提案(売却・引取・他の専門家のご紹介等)
☐ STEP4 方針の決定とお手続き
☐ STEP5 必要に応じて税理士・司法書士など専門家と連携
⚠️ 注意
税額・負担金・登記など個別の専門的判断が必要な場面では、税理士・司法書士・行政書士・弁護士といった各分野の専門家と連携してご案内します。当社が法律・税務の個別判断を代行するものではありません。

「使う予定のない農地・山林をどうにかしたい」「処分の方法が分からず放置している」といったお悩みは、不要不動産の引取に関する以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

▶ 不要不動産の引取を相談する

✅ 本章のまとめ
・ヘリテージリンクは東京・埼玉を中心に処分困難な農地・山林のご相談に対応
・国庫帰属の要件に合わない土地は、引取という形での処分も検討可能
・税務・登記などは各分野の専門家と連携してご案内

まとめ

農地・山林の相続は、宅地とは異なる届出義務や法令上の制限が伴います。本記事の要点を改めて整理します。

💡 ポイント
・農地の相続は農地法第3条の許可は不要だが、農地法第3条の3に基づき農業委員会へおおむね10ヶ月以内に届出が必要
・山林の相続は、森林法第10条の7の2に基づき市町村へ90日以内に届出が必要
・営農を続けるなら措置法第70条の6の納税猶予が選択肢だが、要件を欠くと利子税付きで打切りの可能性
・売却・転用は農地法第3条・4条・5条が関わり、市街化区域内外で手続きが異なる
・手放す場合は相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行)や専門業者の引取を検討。国庫帰属は要件が厳格

いずれの制度も、適用の可否や費用は土地の状況によって変わります。「自分のケースではどの選択肢が現実的か」を見極めるには、早めに情報を整理し、必要に応じて専門家や対応事業者に相談することが、結果的に負担を抑えることにつながります。ヘリテージリンクは、処分の難しい農地・山林についても、オーナー様の状況に寄り添ってご相談を承ります。

▶ 無料相談を予約する

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報に基づき作成しています。制度の内容や運用は改正・変更される場合があります。個別のご判断にあたっては、最新の情報を所管の行政機関や専門家にご確認ください。

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