「親から相続した地方の土地。売れない、貸せない、もらい手もいない。それでも毎年の固定資産税と草刈り費用だけが出ていく――」。こうしたご相談が、当社にも年々増えています。

国土交通省の調査では、土地所有者の約42%が「土地を所有することに負担を感じたことがある」と回答しています(国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」令和4年度)。所有者不明土地は九州本島の面積を超える約410万ヘクタールに達するとの推計(所有者不明土地問題研究会・2016年)もあり、「いらない土地」は社会全体の課題になりました。

この状況を受けて2023年4月27日に始まったのが、相続土地国庫帰属制度です。一定の要件を満たせば、相続したいらない土地を国に引き取ってもらえる制度として注目されています。

ただし、この制度には厳格な要件と決して安くない費用があります。法務省の統計(2026年2月28日現在)では、申請累計5,140件に対し国庫帰属に至ったのは2,542件。「申請すれば引き取ってもらえる」という制度ではないのが実情です。

💡 この記事でわかること
✅ 相続土地国庫帰属制度の仕組みと2023年施行の背景
✅ 引き取ってもらえない土地の全パターン(却下事由5つ+不承認事由5つ)
✅ 総費用のリアル:審査手数料14,000円+負担金原則20万円+事前整備費
✅ 申請から帰属までの流れと期間(目安8ヶ月前後)
✅ 制度が使えない場合の代替策4つの比較(売却・引取サービス・寄付など)
☑ こんな方に向けた記事です
☐ 地方の実家の土地・山林・原野を相続した(する見込みがある)
☐ 固定資産税や管理の負担から解放されたい
☐ 不動産会社に「売れない」と言われた土地を持っている
☐ 国庫帰属制度の費用と「通る確率」を具体的に知りたい
☐ 制度が使えなかった場合の次の一手を探している

本記事では、東京・埼玉エリアで相続不動産・空き家の相談を受けるヘリテージリンクが、法務省の一次資料に基づいて制度の使い方と「落とし穴」、そして使えない場合の現実的な代替策まで完全解説します。ご自身の土地が対象になりそうか、まず無料診断ページでセルフチェックしながらお読みください。

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第1章 相続土地国庫帰属制度の基礎知識

🎯 この章で解説すること
制度の正式な仕組み・誰が使えるのか・なぜ創設されたのか・相続登記義務化との関係

1-1. 制度の概要:「相続したいらない土地」を国が引き取る仕組み

相続土地国庫帰属制度とは、相続または遺贈(相続人に対するものに限る)によって取得した土地について、法務大臣(窓口は管轄の法務局)の承認を受けて所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

📖 根拠法令:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)
2021年4月成立・2023年4月27日施行。第1条は「相続等により土地の所有権を取得した者がその土地を手放すことができる制度を創設することにより、所有者不明土地の発生の抑制を図る」ことを目的に掲げています。

ポイントは3つです。第一に、対象は土地のみで建物は対象外です。第二に、審査制であり、法務局の実地調査を経て要件を満たす土地だけが承認されます。第三に、承認後に負担金(原則20万円)の納付が必要で、無償で引き取ってもらえるわけではありません。

1-2. 申請できる人(申請権者)

申請できるのは、相続または相続人への遺贈により土地(またはその共有持分)を取得した人です。施行日(2023年4月27日)より前に相続した土地でも申請できます。

取得の経緯 申請可否
相続で土地を取得した ○ 申請できる
相続人として遺贈を受けた ○ 申請できる
施行前(2023年4月27日より前)の相続 ○ 申請できる
売買・贈与(生前贈与)で取得した × 申請できない
法人が取得した土地 × 原則申請できない
共有地(相続以外の共有者を含む) △ 共有者全員が共同申請すれば可
💡 ポイント:共有地は「全員一致」が条件
兄弟3人で共有相続した土地は、3人全員が共同で申請する必要があります。1人でも反対すれば申請できません。また、売買で持分を取得した共有者がいる場合でも、相続で持分を取得した共有者と全員で共同申請すれば利用できます。

1-3. なぜ創設されたのか:所有者不明土地問題

制度創設の直接の背景は、所有者不明土地の急増です。不動産登記簿で所有者がすぐに判明しない、または判明しても連絡がつかない土地は国土の約24%(2022年・国土交通省地籍調査ベース)に上るとされます。

所有者不明土地が生まれる最大の原因は、相続登記の放置でした。「価値のない土地のために登記費用をかけたくない」という心理が放置を生み、世代を重ねるごとに相続人が数十人に膨らんで収拾がつかなくなる――この悪循環を断つため、国は2つの制度を同時に整備しました。

制度 施行日 役割
相続土地国庫帰属制度 2023年4月27日 いらない土地の「出口」をつくる
相続登記の義務化(不動産登記法改正) 2024年4月1日 登記放置を防ぐ(怠ると10万円以下の過料)

つまり国庫帰属制度は、相続登記義務化とセットで機能する「出口戦略」です。相続登記義務化の詳細は【2024年義務化】相続登記しないと10万円の過料|手続きと期限の完全ガイドで解説しています。

1-4. 「相続放棄」との違い

よく混同されるのが相続放棄です。両者はまったく別の制度で、使える場面が異なります。

項目 相続土地国庫帰属制度 相続放棄
手放す対象 いらない土地だけ選べる 全財産を放棄(選べない)
期限 相続後いつでも申請可 相続を知ってから3ヶ月以内
費用 手数料14,000円/筆+負担金20万円〜 申述費用 数千円(専門家報酬別)
預貯金など他の財産 受け取れる 受け取れない
⚠️ 注意
「実家の土地はいらないが預貯金は相続したい」場合、相続放棄では実現できません。いったん相続したうえで国庫帰属制度(または売却・引取サービス)を使うのが正しい順序です。3ヶ月の熟慮期間を過ぎてから後悔しないよう、相続発生直後に全体方針を決めることが重要です。
✅ 第1章のまとめ
1. 相続・遺贈で取得した「土地」を、審査と負担金納付を経て国に引き取ってもらう制度(2023年4月27日施行)
2. 施行前の相続でも申請可。共有地は全員共同申請が条件
3. 相続登記義務化(2024年4月)とセットの「出口」制度。相続放棄とは別物

第2章 データで見る現実:申請しても半分は帰属に至らない

🎯 この章で解説すること
法務省の最新統計が示す制度の利用実態と、「引き取ってもらえない土地」の全10パターン

2-1. 最新統計:申請5,140件・帰属2,542件

法務省が公表する統計(2026年2月28日現在)によると、制度開始からの実績は次のとおりです。

項目 件数
申請件数(累計) 5,140件
国庫帰属件数(累計) 2,542件
 うち宅地 902件
 うち農用地 776件
 うち森林 156件
 うちその他(雑種地・原野等) 601件

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(2026年2月28日現在)

帰属件数には審査中の案件が含まれないため単純な「承認率」ではありませんが、申請に対して帰属に至った割合はおおむね5割前後にとどまります。取下げ(実地調査前の自主的な取下げを含む)や、要件不適合による却下・不承認も一定数発生しています。

⚠️ 注意:申請前の「足切り」も多い
法務局では申請前の事前相談(予約制)を受け付けており、この段階で「建物がある」「境界が不明」などの理由で申請自体を見送るケースが相当数あります。統計に表れない「制度を使えなかった人」は、数字以上に多いと考えるべきです。

2-2. 申請の段階で門前払いになる土地(却下事由・5類型)

法律は「引き取れない土地」を2段階で定めています。まず、次の5類型に該当する土地は申請しても受理されません(却下事由:同法第2条第3項)。

却下事由 典型例 対処の方向性
① 建物がある土地 古家・倉庫・物置が残っている 解体して更地化(解体費100〜300万円目安)
② 担保権・使用収益権が設定された土地 抵当権付き、賃借権・地上権付き 完済して抹消登記/契約解消
③ 他人の利用が予定される土地 通路・墓地・境内地・水道用地など 原則利用不可(現況の解消が必要)
④ 土壌汚染がある土地 特定有害物質による汚染 浄化措置(高額になりやすい)
⑤ 境界が明らかでない土地・所有権に争いがある土地 隣地との境界未確定、筆界争い 境界確定測量(30〜80万円目安)

実務上つまずく方が多いのは①建物⑤境界です。「古家付きの実家の土地」はそのままでは申請できず、解体費用の持ち出しが先に発生します。また地方の山林・原野は境界標が失われていることが多く、測量費用が負担金を大きく上回るケースも珍しくありません。

2-3. 審査で落ちる土地(不承認事由・5類型)

申請が受理されても、法務局職員の書面調査・実地調査の結果、次の5類型に該当すると不承認になります(同法第5条第1項)。

不承認事由 典型例
① 一定基準を超える崖がある土地 勾配30度以上かつ高さ5m以上で、管理に過分の費用・労力を要する
② 管理・処分を阻害する工作物等が地上にある土地 果樹園の樹木、放置車両、廃資材、古いフェンス基礎など
③ 除去が必要な有体物が地下にある土地 古い浄化槽、井戸、建物基礎、埋設廃棄物
④ 隣接所有者等との争訟によらなければ管理・処分できない土地 不法占用されている、隣地からの越境物がある
⑤ その他、通常の管理・処分に過分の費用・労力を要する土地 土砂災害の危険、獣害・病虫害、国による追加整備が必要な森林など
🚨 重要な注意:手数料は戻りません
審査手数料(土地一筆あたり14,000円)は、却下・不承認になっても返還されません。境界確定や残置物撤去に費用をかけた後で不承認になると、負担だけが残ります。申請前に法務局の事前相談と専門家のスクリーニングを受けることが、結果的に最も安上がりです。

2-4. ご自身の土地のセルフチェック

☑ 国庫帰属の「見込みあり」チェックリスト
☐ 土地の上に建物・物置・基礎が残っていない(更地である)
☐ 抵当権などの登記が残っていない(登記簿で確認)
☐ 隣地との境界について争いがなく、現地でおおむね特定できる
☐ 通路・水道施設など、他人が使っている部分がない
☐ 崖地・急傾斜地ではない
☐ 地下埋設物(浄化槽・井戸・基礎)の心配がない
☐ 共有者全員の同意が取れる(共有地の場合)

1つでも☐が外れる場合、申請前の整備費用が必要か、そもそも制度を使えない可能性があります。

「自分の土地がどちらに転ぶか分からない」という方は、当社の無料診断をご利用ください。登記簿・公図・現況写真をもとに、国庫帰属の見込みと代替策(第3章で詳述)を整理してお伝えします。

✅ 第2章のまとめ
1. 申請5,140件に対し帰属2,542件(2026年2月末)。事前相談での見送りを含めるとハードルはさらに高い
2. 却下事由5類型(建物・担保権・他人利用・土壌汚染・境界不明)は申請の門前払い
3. 不承認事由5類型(崖・地上工作物・地下埋設物・争訟・過分費用)は審査落ち。手数料14,000円/筆は返還されない

第3章 費用と手続きの完全解説:総額いくらかかるのか

🎯 この章で解説すること
審査手数料・負担金の正確な金額、見落としがちな「事前整備費」、申請から帰属までの流れ、そして代替策との費用比較

3-1. 費用は「3階建て」で考える

国庫帰属制度の費用は、①審査手数料 ②負担金 ③事前整備費の3層で構成されます。広告などで「20万円で国に返せる」と紹介されることがありますが、それは②だけの話です。

費用 金額 納付タイミング
① 審査手数料 土地一筆あたり14,000円(収入印紙) 申請時。却下・不承認でも返還なし
② 負担金 原則20万円(一部の土地は面積に応じ加算。下記3-2) 承認後、通知到達の翌日から30日以内
③ 事前整備費 0円〜数百万円(土地の状態次第) 申請前(建物解体・境界確定測量・残置物撤去など)
⚠️ 注意:負担金は期限厳守
負担金を30日以内に納付しないと、承認自体が失効します(再申請が必要)。納付は納入告知書により日本銀行(本店・代理店・歳入代理店)で行います。

3-2. 負担金の算定:原則20万円、ただし例外あり

負担金は「国有地の種目ごとに、その管理に要する10年分の標準的な費用を考慮して算定した額」と定められています(同法第10条)。原則は一筆あたり20万円ですが、次の土地は面積に応じて加算されます。

土地の種類 負担金 金額の目安
原野・雑種地・市街地外の宅地など(原則) 一律20万円 面積によらず20万円
市街化区域・用途地域内の宅地 面積に応じ算定 例:100㎡で約55万円、200㎡で約80万円
市街化区域・用途地域内の農地、農用地区域内等の農地 面積に応じ算定 例:500㎡で約72万円
森林(全域) 面積に応じ算定 例:3,000㎡で約30万円

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」。正確な金額は法務省サイトの負担金自動計算シート(Excel)で算定できます。上記目安は同算定式に基づく概算です。

💡 ポイント:隣接する複数筆は「合算」特例あり
同じ種目の土地が隣接している場合、2筆以上をまとめて1つの土地とみなして負担金を算定する申出ができます。原則20万円の土地が2筆隣接しているなら、別々に申請(40万円)ではなく合算(20万円)が有利です。ただし審査手数料は筆ごとに必要です。

3-3. 見落としがちな「事前整備費」の実例

実際のご相談で負担が大きいのは、申請前に土地を「引き取れる状態」にするための費用です。

整備内容 費用目安 関係する事由
木造家屋の解体・更地化 100〜300万円(30坪前後) 却下事由①建物
境界確定測量 30〜80万円(隣接地数による) 却下事由⑤境界不明
残置物・庭木の撤去 10〜50万円 不承認事由②地上工作物
浄化槽・井戸など地下埋設物の撤去 20〜100万円 不承認事由③地下有体物
抵当権抹消登記(司法書士報酬込み) 2〜5万円 却下事由②担保権

たとえば「古家付き・境界未確定の実家の土地」を国庫帰属させる場合、解体150万円+測量50万円+手数料1.4万円+負担金20万円で総額220万円超になることもあります。この金額を見て、売却や引取サービスへ方針転換される方が実際に多くいらっしゃいます。

3-4. 申請から帰属までの流れと期間

📋 手続きの流れ(標準的な所要期間:おおむね8ヶ月前後)
STEP 1 法務局へ事前相談(予約制・無料)── 登記簿・公図・現況写真を持参
STEP 2 申請書類の作成・提出(管轄法務局の本局)── 手数料14,000円/筆を印紙納付
STEP 3 書面調査・実地調査 ── 法務局職員が現地確認。立会いを求められる場合あり
STEP 4 承認・負担金通知 ── 法務大臣(法務局長)名で通知
STEP 5 負担金納付(30日以内厳守)→ 納付時点で所有権が国庫に移転

申請書の作成は本人のほか、弁護士・司法書士・行政書士に限り代行依頼が可能です(書類作成の代行)。当社では国庫帰属をご検討の方に提携行政書士のご紹介を行っています(紹介無料・書類作成報酬は別途お見積り)。

3-5. 【比較表】国庫帰属 vs 売却 vs 引取サービス vs 寄付

ここまで読んで「思ったより重い」と感じた方のために、いらない土地の出口4択を比較します。

項目 国庫帰属制度 売却(仲介・買取) 民間引取サービス 自治体等へ寄付
費用 手数料+負担金20万円〜+整備費 原則持ち出しなし(仲介手数料は売却代金から) 引取料(物件により数十万円〜) 原則無償(ただし受領されにくい)
対象になりやすい土地 更地・境界明確・問題なし 需要のある立地 建物付き・再建築不可・地方も相談可 自治体が利用予定のある土地のみ
期間 8ヶ月前後 3ヶ月〜1年超 最短1〜2ヶ月 自治体次第(断られることが大半)
建物があってもよいか × 解体必須 ○(古家付き土地として) ○ そのまま引取可の場合あり
確実性 審査落ちリスクあり 買い手次第 条件合意すれば確実 低い
💡 ポイント:検討の順番
当社が推奨する検討順序は (1)まず売却可能性を査定 →(2)売れないなら国庫帰属の要件チェック →(3)要件外・費用過大なら引取サービス です。「売れる土地」を負担金を払って国に渡すのは経済的に損だからです。

建物付き・要件外の土地でお困りの方は、当社の不要不動産引取サービスで解決できる場合があります。まずは下記フォームから物件の状況をお知らせください。

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✅ 第3章のまとめ
1. 費用は手数料14,000円/筆+負担金原則20万円+事前整備費の3階建て。市街地の宅地は負担金が面積比例で増える
2. 申請から帰属までおおむね8ヶ月前後。負担金は承認通知から30日以内納付(過ぎると失効)
3. 検討順序は「売却→国庫帰属→引取サービス」。売れる土地に負担金を払うのは損

第4章 ケーススタディ:制度が「使えた人」「使えなかった人」

🎯 この章で解説すること
実際の相談事例3件から、国庫帰属が向くケース・向かないケースの分かれ目を学ぶ

※以下のケースは実際のご相談・公表事例をもとに、プライバシー保護のため氏名・地域・金額等を一部加工しています。

4-1. ケース1:国庫帰属が成功した「整備済みの地方宅地」

📋 ケース:Aさん(68歳・さいたま市在住)
相続した土地:北関東の郊外住宅地にある更地180㎡(市街化区域外・原則負担金の対象)。父が晩年に家を解体済み
状況:不動産会社2社に売却を相談したが「需要がなく値段がつかない」。固定資産税は年約3万円
対応:境界標が現存し隣地との争いもなかったため、法務局の事前相談を経て申請。実地調査でも問題なし
結果:申請から約7ヶ月で承認。手数料14,000円+負担金20万円=約21.4万円で所有権が国庫に移転。
収支感覚:固定資産税3万円×10年分+草刈り委託費を考えれば「約21万円で将来の負担を清算できた」と判断

Aさんのように「更地・境界明確・争いなし・原則負担金(20万円)の区分」がそろうと、国庫帰属は最も費用対効果の高い出口になります。先代が建物を解体しておいてくれたことが決め手でした。

4-2. ケース2:不承認見込み→引取サービスで解決した「境界不明の山林」

📋 ケース:Bさん(59歳・練馬区在住)
相続した土地:甲信地方の山林約4,000㎡。祖父名義のまま数次相続が発生し、2024年の義務化を機に相続登記だけは完了
状況:現地は急傾斜を含み、境界標は見当たらず、公図と現況も大きくずれている。森林組合からも管理を断られた
対応:法務局の事前相談で「境界の明確化が前提。傾斜地部分は不承認事由に該当し得る」との見解。境界確定測量の見積りは約90万円で、申請しても不承認リスクが残る状態
結果:国庫帰属を断念し、当社の不要不動産引取サービスで隣接山林の取得実績がある事業者と連携。引取料約40万円で約2ヶ月後に所有権移転を完了
収支感覚:「測量90万円+不承認リスク」と「確実な40万円」の比較で後者を選択

山林は境界不明(却下事由⑤)と崖・過分費用(不承認事由①⑤)の二重リスクを抱えやすい地目です。法務省統計でも森林の帰属は156件と、宅地(902件)・農用地(776件)に比べ顕著に少なくなっています。測量費が負担金を大きく超える場合は、民間の引取りも含め総コストで比較することをおすすめします。

4-3. ケース3:申請準備中に売却できた「古家付きの郊外宅地」

📋 ケース:Cさん(72歳・川口市在住)
相続した土地:埼玉県内の駅徒歩25分・築45年の実家(古家付き宅地150㎡)
状況:「駅から遠く売れない」と思い込み、解体(見積り180万円)→国庫帰属(市街化区域内宅地のため負担金は面積比例で約65万円の試算)を検討。総額245万円超の持ち出しに悩み当社へ相談
対応:当社で査定したところ、リフォーム前提の買取需要が判明。古家付きのまま買取で売却成立(手残り約120万円)
結果:解体費も負担金も不要になり、245万円の支出予定が120万円の受取りに反転
⚠️ 注意:市街化区域内の宅地は「売れる可能性」を最優先で確認
負担金が面積比例になる市街化区域・用途地域内の宅地は、裏を返せば市場性がある立地ということです。国庫帰属を検討する前に、必ず複数の査定を取りましょう。買取と仲介の違いは不動産買取vs仲介の比較ガイドで解説しています。

4-4. 3つのケースから見える判断フロー

📋 いらない相続土地の出口・判断フロー
Q1. 売却査定で値段がつく? → YES:売却(ケース3)/NO:Q2へ
Q2. 更地・境界明確・崖や埋設物なし? → YES:国庫帰属を申請(ケース1)/NO:Q3へ
Q3. 整備費(解体・測量等)は負担金と合わせて許容範囲? → YES:整備して国庫帰属NO:引取サービスを検討(ケース2)

どの段階の判断でも、入口は「正確な現状把握」です。当社では登記簿・公図・現況の確認から査定・国庫帰属の見込み診断・引取りまでワンストップで対応します。

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✅ 第4章のまとめ
1. 「更地・境界明確・原則負担金」の土地なら約21万円で清算できる(ケース1)
2. 山林は境界・傾斜の二重リスク。測量費が負担金を超えるなら引取サービスも比較(ケース2)
3. 市街化区域内の宅地は売れる可能性が高い。国庫帰属の前に必ず査定(ケース3)

第5章 よくある質問 Q&A(10問)

Q1. 制度が始まる前(2023年4月27日より前)に相続した土地でも使えますか?
A. 使えます。何十年前の相続でも、相続や相続人への遺贈で取得した土地であれば申請できます。ただし申請前に相続登記を済ませておく必要があります(2024年4月からは登記自体が義務です)。

Q2. 建物が建ったままでは本当にだめですか?
A. 建物がある土地は却下事由に該当し、申請できません。解体して更地にする必要があります。解体費の負担が重い場合は、建物付きのまま相談できる民間の引取サービスや古家付き売却との比較をおすすめします。

Q3. 農地や山林も対象になりますか?
A. 対象です。農地法の許可も不要です。実績でも農用地776件・森林156件が帰属しています(2026年2月末)。ただし農用地区域内の農地と森林は負担金が面積比例になる点、山林は境界・傾斜の要件を満たしにくい点に注意してください。

Q4. 申請は自分でできますか?専門家に頼むといくらかかりますか?
A. ご本人での申請も可能です。書類作成を任せられるのは弁護士・司法書士・行政書士に限られ、報酬相場は10〜20万円程度です。当社では提携行政書士のご紹介が可能です(紹介無料)。

Q5. 負担金20万円はどの土地でも同じですか?
A. 原則は一筆20万円ですが、市街化区域・用途地域内の宅地と農地、農用地区域内等の農地、森林は面積に応じて算定されます(例:市街化区域内の宅地100㎡で約55万円)。法務省サイトの自動計算シートで事前に確認できます。

Q6. 隣どうしの土地を2筆まとめて申請すると安くなりますか?
A. 同じ種目の隣接地は、申出により2筆以上を1つの土地とみなして負担金を算定できます。原則20万円の土地2筆なら40万円→20万円になります。審査手数料(14,000円)は筆ごとに必要です。

Q7. 審査にはどのくらいかかりますか?途中で取り下げられますか?
A. 申請から結果まで標準でおおむね8ヶ月前後が目安です。承認前であればいつでも取下げできますが、納付済みの審査手数料は返還されません。

Q8. 共有名義の土地で、共有者の1人が反対しています。
A. 共有地は共有者全員の共同申請が必須のため、1人でも反対すると申請できません。持分の売買・贈与での集約、共有物分割など別の整理が先になります。共有不動産の整理は共有名義不動産の売却ガイドをご覧ください。

Q9. 一度国に引き取られた土地を買い戻せますか?
A. 原則できません。帰属後の土地は国有財産として管理・処分されます。なお、偽りその他不正の手段で承認を受けたことが判明した場合は承認が取り消されることがあります(同法第13条・第14条参照)。

Q10. 国庫帰属と売却で迷っています。判断基準は?
A. まず査定で市場性を確認してください。値段がつくなら売却が経済的に有利です。値段がつかず、更地・境界明確などの要件を満たすなら国庫帰属、要件外なら引取サービス、という順で検討するのが当社の推奨です。無料診断で初期判定をお手伝いします。

第6章 ヘリテージリンクのサポート体制

🎯 この章で解説すること
「売る・返す・引き取ってもらう」をワンストップで比較検討できる当社サービスのご案内

6-1. 当社が提供する3つの出口

サービス 内容 こんな方に
① 不動産査定・売却 仲介・買取の両面から市場性を査定 まず「売れるか」を確認したい
② 国庫帰属サポート 要件の初期診断+提携行政書士のご紹介(紹介無料) 更地・境界明確の土地を国に返したい
③ 不要不動産引取サービス 建物付き・再建築不可・地方物件など処分困難物件の引取り 売れない・国庫帰属も使えない

当社は東京・埼玉エリアを中心に、相続不動産・空き家の相談を提携司法書士・税理士・行政書士とワンストップで対応しています。「どの出口が一番損をしないか」を中立に比較するところから始めますので、方針が決まっていない段階でもお気軽にご相談ください。

6-2. ご相談の流れ

📋 無料相談の流れ
STEP 1 下記フォームから物件情報を送信(登記簿がなくても所在地だけでOK)
STEP 2 当社で登記・公図・現況を確認し、出口の選択肢と概算費用をご提示
STEP 3 無料面談(オンライン可)で方針決定。必要に応じ提携専門家をご紹介
STEP 4 売却活動/国庫帰属の書類準備/引取り手続きへ

まとめ:制度は「使える人」を選ぶ。出口は1つではない

✅ 本記事の3つの要点
1. 相続土地国庫帰属制度は、相続したいらない土地を国に引き取ってもらえる制度。ただし審査制で、申請5,140件に対し帰属2,542件(2026年2月末)と「通る土地」は選ばれる
2. 費用は手数料14,000円/筆+負担金原則20万円+事前整備費の3階建て。建物解体や境界確定が必要だと総額200万円超になることも
3. 検討順序は「売却査定→国庫帰属→引取サービス」。ご自身の土地がどの出口に向くかは、現状把握から始めるのが最短ルート

固定資産税と管理責任は、放置している間も毎年積み上がります。「いつか考えよう」の数年が、結果的に最も高くつきます。まずは無料面談で、ご自身の土地の出口を一緒に整理しましょう。

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🏠 ヘリテージリンクの関連サービス
不要不動産の引取・処分サービス(全国47都道府県対応)
空き家・相続不動産の管理サービス(東京・埼玉)
PARKING PAY(眠っている土地を毎月の収入に)
無料診断(お持ちの物件の出口をセルフチェック)
運営:株式会社ヘリテージリンク
本社所在地:東京都内(詳細はお問合せください)
事業内容:空き家管理/相続不動産管理/不動産売買・賃貸仲介/不要不動産引取/提携司法書士・税理士・行政書士ワンストップ
対応エリア:東京都・埼玉県

※本記事は2026年6月時点の法令(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律〔令和3年法律第25号・2023年4月27日施行〕ほか)および法務省公表資料に基づき作成しています。負担金等の正確な金額は法務省・管轄法務局で最新情報をご確認ください。
※掲載しているケーススタディは実例に基づきますが、プライバシー保護のため氏名・地域・金額等を一部加工しています。
※国庫帰属の申請書類作成の代行は法令により弁護士・司法書士・行政書士に限られます。当社は提携行政書士のご紹介により支援いたします。

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