親が所有する 賃貸併用住宅 や 賃貸アパート を相続するケースは、自宅単独の相続より 論点が3倍に増えます。評価方法・賃借人対応・修繕承継・確定申告まで知っておくべき実務が満載です。
本記事では、東京・埼玉エリアで提携税理士・司法書士と連携するヘリテージリンクが、 賃貸併用住宅・収益物件の相続実務 を完全解説します。
✅ 賃貸物件は 貸家建付地評価で約18%減、貸家建物は 30%減 で相続税節税
✅ 賃借人通知・敷金引継・原状回復責任など 賃貸借契約の承継 が必須
✅ 確定申告(不動産所得)は 準確定申告+翌年分の通常申告 2段階
—
第1章 結論:賃貸物件相続の3大論点
| 論点 | 難易度 | 放置リスク |
|---|---|---|
| 1. 評価方法と税額 | 高 | 特例不適用で追加課税 |
| 2. 賃借人対応 | 中 | 賃料未収・解約トラブル |
| 3. 修繕・管理承継 | 中 | 建物老朽化・空室拡大 |
—
第2章 賃貸物件の相続税評価
2-1. 貸家建付地の評価
貸家建付地評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
東京23区の住宅地では:
・借地権割合:60〜70%
・借家権割合:30%
・100%賃貸時:1 − 0.7 × 0.3 × 1 = 0.79(約21%減)
2-2. 貸家建物の評価
貸家評価額 = 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合30%)= 固定資産税評価額×70%
2-3. 小規模宅地等の特例 貸付事業用
賃貸物件の敷地は 200㎡まで50%減 の特例適用可。条件:被相続人が3年超賃貸事業、相続後申告期限まで継続。
2018年改正で「相続開始前3年以内に新たに賃貸事業を始めた宅地は除外」(駆け込み賃貸の防止)。長期賃貸実績が必須。
—
第3章 賃借人対応の実務
3-1. 相続後の通知義務
オーナー死亡+相続後、賃借人に 新オーナー(相続人)への通知 が必要。賃料振込先口座変更も含めて書面で通知。
3-2. 賃貸借契約の自動承継
賃貸借契約は 相続で自動承継 されます。賃借人から「契約し直し」を求められても応じる必要なし。
3-3. 敷金の承継
敷金返還義務も相続人に承継。退去時の精算は新オーナーが行います。被相続人の口座にあった敷金は遺産分割の対象外(賃借人に返還すべき預り金)。
—
第4章 修繕・管理承継
4-1. 既存管理会社との関係
管理会社との委託契約も承継。新オーナーは契約継続 or 解約の判断を行う。解約は3ヶ月前予告が一般的。
4-2. 大規模修繕計画
| 修繕項目 | 周期 | 費用相場(戸建賃貸) |
|---|---|---|
| 外壁塗装 | 10〜15年 | 80〜150万円 |
| 屋根葺替 | 20〜30年 | 100〜200万円 |
| 給湯器交換 | 10〜15年 | 15〜30万円 |
| 水回りリフォーム | 15〜25年 | 100〜300万円 |
4-3. 共有名義での運営は要注意
共有名義で賃貸経営する場合、 大規模修繕は全員合意必須、短期賃貸は過半数で可。意思決定が滞ると物件価値低下リスク。HL-10参照。
—
第5章 確定申告の2段階対応
5-1. STEP1:準確定申告(4ヶ月以内)
被相続人の死亡日までの不動産所得を、相続人が代理で確定申告。期限は 相続開始から4ヶ月以内。
5-2. STEP2:通常の確定申告
相続開始翌日以降の不動産所得は 相続人が新オーナーとして確定申告。1月〜12月分を翌年2/16〜3/15に申告。
5-3. 青色申告承継の届出
被相続人が青色申告→相続人も継続したい場合、 相続開始から4ヶ月以内 に「青色申告承認申請書」を税務署提出。忘れると白色申告になり65万円控除を逃す。
—
第6章 売却 or 継続経営の判断
6-1. 判断軸4つ
| 判断軸 | 売却 | 継続 |
|---|---|---|
| 築年数 | 築30年超 | 築20年以内 |
| 立地 | 需要弱い地方 | 都心・駅近 |
| 相続人の関心 | 不動産経営未経験 | 関心あり |
| 修繕資金 | 不足 | 確保 |
6-2. 売却時の留意点
賃借人がいる状態での売却は オーナーチェンジ物件 として扱われ、空室物件より 20〜30%安く なります。退去後売却が高値だが、退去料・空室期間負担あり。
—
第7章 Q&A 6問
Q1. 賃料は誰が受け取る?
A. 遺産分割確定までは法定相続分で按分。確定後は相続人が単独受領。
Q2. 賃貸併用住宅で自宅部分と賃貸部分はどう評価する?
A. 床面積比で按分。自宅部分は特定居住用、賃貸部分は貸付事業用で特例適用可。
Q3. サブリース契約は承継される?
A. 承継される。ただし2020年改正で借地借家法の保護対象に。解約は容易ではない。
Q4. 賃借人から退去要求された場合は?
A. 正当事由がなければ拒否可能。借地借家法で借主保護が強い。
Q5. 相続税納税のために賃貸物件を売る場合の注意は?
A. オーナーチェンジ売却で20〜30%減額。延納・物納も検討。
Q6. 賃貸物件を法人化するメリットは?
A. 所得分散・経費計上拡大・相続対策。年収700万円超なら検討価値あり。
—
まとめ
1. 賃貸物件は貸家建付地・貸家評価で約18〜30%減。小規模宅地特例も併用
2. 賃貸借契約・敷金・管理委託契約は自動承継
3. 準確定申告(4ヶ月)+通常申告+青色承認申請(4ヶ月)の3点セット
※本記事は2026年6月時点の法令・税制に基づきます。
・不要不動産の引取・処分サービス(全国47都道府県対応)
・空き家・相続不動産の管理サービス(東京・埼玉)
・PARKING PAY(眠っている土地を毎月の収入に)
・無料診断(お持ちの物件の出口をセルフチェック)