「住み慣れた家に住み続けたいけれど、まとまった資金が必要」「老後資金や相続の準備で自宅を活用したい」——そうしたときに選択肢となるのがリースバックです。自宅を売却して現金化しながら、その家に賃貸で住み続けられる仕組みで、近年利用が広がっています。
一方で、リースバックは売却価格が相場より低くなりやすい、家賃(リース料)や買い戻し価格の設定によっては不利になる、といった注意点も多い取引です。国土交通省や消費者庁も、契約内容をよく確認するよう注意喚起を行っています。
本記事では、ヘリテージリンクが東京・埼玉エリアで相続・不動産のご相談に対応してきた立場から、リースバックの仕組み・メリットとデメリット・費用と税金・向き不向き・契約時のチェックポイントを、国土交通省の一次情報をもとに体系的に整理します。
・リースバックの仕組みと「普通の売却」「リバースモーゲージ」との違い
・メリットと、見落としやすいデメリット・リスク
・売却価格・家賃・買い戻し価格の考え方
・かかる税金と、居住用3,000万円控除の可否
・契約前に必ず確認すべきチェックポイント
☐ 売却後も同じ家に住み続けたい
☐ 老後資金・事業資金・相続対策を検討している
☐ リースバックの相場観と注意点を知りたい
目次
第1章 リースバックとは|仕組みと3つの登場人物
第2章 メリット|資金化しながら住み続けられる
第3章 デメリットとリスク|ここを見落とすと損をする
第4章 お金の話|売却価格・家賃・買い戻し価格・税金
第5章 向いている人・向いていない人
第6章 契約前チェックリストとQ&A
第7章 ヘリテージリンクの対応
まとめ
本記事は2026年7月時点の国土交通省・消費者庁の公表資料等をもとにした一般的な情報提供です。リースバックの条件(価格・家賃・契約形態)は事業者や物件により大きく異なり、税務の取扱いも個別事情で変わります。契約にあたっては契約書の内容を必ず確認し、税務は税理士に相談してください。
第1章 リースバックとは|仕組みと3つの登場人物
・リースバックの基本的な仕組み
・普通の売却/リバースモーゲージとの違い
1-1. 自宅を「売って・借りて・住み続ける」仕組み
リースバックとは、自宅(マイホーム)を不動産会社や投資家に売却し、同時にその買主と賃貸借契約(リース契約)を結んで、これまでどおり住み続ける取引をいいます。正式には「セール・アンド・リースバック」と呼ばれます。所有権は買主に移りますが、売主は毎月家賃を払うことで住み続けられます。
「リースバックは、自宅を売却して代金を受け取りつつ、賃貸借契約により引き続き居住できる仕組み」とされ、契約内容の確認の重要性が示されています。
登場人物は主に3者です。①自宅を売って住み続けたい売主(利用者)、②物件を買って貸す買主(不動産会社・投資家)、③仲介する不動産会社です。売主は売却代金というまとまった資金を得つつ、引っ越しをせずに生活を続けられる点が最大の特徴です。
1-2. 「普通の売却」「リバースモーゲージ」との違い
似た制度と混同されやすいため、違いを整理します。
| 項目 | リースバック | 普通の売却 | リバースモーゲージ |
|---|---|---|---|
| 住み続けられるか | ○ 賃貸で住み続ける | × 引き渡す | ○ 住み続ける |
| 所有権 | 買主へ移転 | 買主へ移転 | 自分のまま(担保提供) |
| 資金の受取り | 売却代金を一括 | 売却代金を一括 | 借入(年金型・一括) |
| 毎月の負担 | 家賃 | なし | 利息(返済は死亡時等) |
| 対象 | 幅広い | 幅広い | 主に高齢者・戸建て中心 |
リバースモーゲージは「自宅を担保にお金を借りる」制度で、所有権は自分に残り、返済は原則として契約者の死亡時などにまとめて行います。これに対しリースバックは「売却」であり、所有権が移転して以後は家賃を払う点が根本的に異なります。
☑ リースバック=自宅を売却し、賃貸で住み続ける取引
☑ 所有権は買主に移り、以後は家賃を払う
☑ リバースモーゲージ(借入・所有権は自分)とは別物
第2章 メリット|資金化しながら住み続けられる
・リースバックの主なメリット4点
リースバックには、通常の売却にはない利点があります。
① 引っ越さずにまとまった資金を得られる:売却代金を一括で受け取りながら、生活拠点を変えずに済みます。老後資金、医療・介護費、事業資金、相続の納税資金づくりなどに活用されます。
② 固定資産税・修繕費の負担がなくなる:所有権が買主に移るため、固定資産税・都市計画税や建物の大規模修繕費は原則として買主の負担になります。
③ 売却を周囲に知られにくい:外見上は住み続けるため、売却したことが近所に分かりにくいという声もあります。
④ 将来の買い戻しを設定できる場合がある:契約によっては、将来まとまった資金ができた時点で買い戻せる特約(再売買の予約)を付けられることがあります。
いずれのメリットも「契約条件次第」です。特に買い戻しは、価格や期限が契約で定められており、条件を満たさなければ買い戻せません。口頭の説明ではなく契約書で確認することが不可欠です。
第3章 デメリットとリスク|ここを見落とすと損をする
・売却価格・家賃・買い戻しに潜むリスク
・国が注意喚起するトラブル類型
リースバックは便利な一方、消費者庁や国土交通省がトラブルに注意するよう呼びかけている取引でもあります。代表的なデメリット・リスクを整理します。
① 売却価格が市場相場より低くなりやすい:買主は賃貸に出して利回りを得る前提で購入するため、通常の売却より価格が低めになる傾向があります。
② 家賃が相場より高くなることがある:家賃は「買主の投資利回り」から逆算されることが多く、周辺の家賃相場より高く設定される場合があります。売却代金を得ても、長く住むほど家賃の総支払いがかさみます。
③ 買い戻し価格が売却額より高い:買い戻し特約があっても、買い戻し価格は売却額より高く設定されるのが一般的で、資金計画が狂うことがあります。
④ 契約が定期借家で、住み続けられないことがある:賃貸借契約が「定期借家契約」の場合、契約期間満了で更新されず、退去を求められる可能性があります。
⑤ 買主(事業者)の経営リスク:買主が物件を第三者に転売したり、経営が悪化したりすると、賃貸の継続に影響が出ることがあります。
国土交通省・消費者庁は、リースバックについて「売却価格・家賃・契約期間・買い戻し条件を十分に確認せずに契約しトラブルになる例」に注意を促しています。複数社の条件を比較し、契約書(特に賃貸借の種類と期間、買い戻し条項)を精読することが重要です。
☑ 売却価格は相場より低め・家賃は利回りベースで高めになりがち
☑ 定期借家だと住み続けられないリスクがある
☑ 買い戻し価格・買主の経営リスクも要確認
第4章 お金の話|売却価格・家賃・買い戻し価格・税金
・価格と家賃の関係
・かかる税金と居住用3,000万円控除
4-1. 売却価格と家賃はセットで考える
リースバックでは、売却価格と家賃は独立ではなく連動します。買主は「購入額に対して家賃で何%の利回りを得るか」で採算を見るため、売却価格を高くすれば家賃も高くなり、家賃を抑えれば売却価格が下がる、という関係になりがちです。目先の売却額だけでなく、毎月の家賃×住む年数まで含めた総額で判断することが大切です。
4-2. かかる税金
リースバックは「売却」なので、売却益(譲渡所得)が出れば譲渡所得税・住民税がかかります。売買契約書には印紙税もかかります。ただし、売却する家が自分の居住用であれば、一定要件のもとで居住用財産の3,000万円特別控除を使える場合があり、譲渡益が3,000万円以内なら税負担が生じないこともあります。
自分が住んでいた家屋・敷地の譲渡は、所有期間を問わず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例の対象となり得ます(要件・併用制限あり)。
3,000万円控除は要件や併用制限(住宅ローン控除との関係等)があり、リースバックでの適用可否は個別判断です。必ず税理士・税務署にご確認ください。
☑ 売却価格と家賃はトレードオフ。総支払いで判断
☑ 売却益には譲渡所得税。居住用なら3,000万円控除の可能性
☑ 税務の適用可否は個別確認が必須
第5章 向いている人・向いていない人
向いている人:住み慣れた家を離れたくない/短中期でまとまった資金が必要/将来の買い戻しも視野に入れたい/固定資産税や修繕の負担を手放したい、という方。
慎重に検討したほうがよい人:長期にわたって住み続ける予定で、家賃総額が売却代金を圧迫しかねない方/少しでも高く売りたい方(通常売却が有利なことが多い)/買い戻しを確実にしたい方(条件が厳しい場合がある)。
相続の場面では、「親の自宅をリースバックして親が住み続けつつ資金化する」といった使い方もありますが、相続人間の合意や将来の相続財産への影響も踏まえた検討が必要です。
第6章 契約前チェックリストとQ&A
☑ 売却価格は近隣相場と比べて妥当か(複数社で比較したか)
☑ 家賃はいくらで、何年住むと総額いくらになるか
☑ 賃貸借契約は「普通借家」か「定期借家」か。期間と更新条件は
☑ 買い戻し特約の有無・価格・期限
☑ 修繕費・原状回復・退去時の負担は誰が持つか
☑ 買主の属性(転売の可能性、経営状況)
Q&A
Q. 相場の何割くらいで売れますか?
A. 事業者や物件により幅がありますが、賃貸利回りを前提とするため通常売却より低めになる傾向があります。金額は必ず複数社の査定で比較してください。
Q. 家賃は途中で上がりますか?
A. 契約内容によります。改定条項の有無を契約書で確認してください。
Q. ローンが残っていても使えますか?
A. 売却代金で住宅ローンを完済できることが前提になるのが一般的です。残債額と売却見込み額の確認が必要です。
第7章 ヘリテージリンクの対応
ヘリテージリンクでは、東京・埼玉エリアを中心に、相続・不動産の総合的なご相談を承っています。リースバックは選択肢の一つであり、通常売却・買取・引取り・賃貸活用など他の方法と比較したうえで、オーナー様にとって損の少ない出口を一緒に整理します。
「まず自宅がいくらで売れるのか」「リースバックと通常売却のどちらが得か」を知りたい方は、無料査定・無料相談をご利用ください。税務は提携の税理士と連携してご案内します。
リースバックは「住み続けられる」魅力の裏で条件が複雑です。1社の提示だけで決めず、通常売却を含めて比較することが、後悔しないための最大のポイントです。
まとめ|「住み続けられる」の裏側まで見て判断を
リースバックは、自宅に住み続けながら資金化できる有力な選択肢ですが、売却価格・家賃・契約形態・買い戻し条件をよく確認しないと、かえって不利になることもあります。目先の売却額ではなく、住む年数も含めた総額と契約の中身で判断しましょう。
① リースバック=自宅を売って賃貸で住み続ける取引。所有権は移る
② 売却価格は低め・家賃は利回りベースで高めになりがち。定期借家や買い戻し条件に注意
③ 売却益には譲渡所得税、居住用なら3,000万円控除の可能性。通常売却と比較して判断
ヘリテージリンクは、リースバックを含む複数の選択肢を中立的に比較し、東京・埼玉エリアでオーナー様の不動産のベストな出口をサポートします。まずはお気軽に無料相談・無料査定をご利用ください。
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本記事は2026年7月時点の国土交通省・消費者庁・国税庁の公表資料等に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務・法務・投資アドバイスではありません。リースバックの条件・税務の取扱いは事業者や個別事情により異なります。契約前に契約書を精読し、税理士等の専門家にご確認ください。
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