相続や購入で手に入れた土地建物が、いざ調べてみると「建て替えができない」と告げられる。いわゆる再建築不可物件と呼ばれる土地で、全国の既存住宅のうち一定割合を占めるといわれています。見た目は普通の家でも、現在の建物を取り壊すと同じ場所に新築が建てられないため、一般的な物件より売りにくく、価格も低くなりやすいという特徴があります。
なぜ建て替えができないのか。その多くは建築基準法の「接道義務」を満たしていないことに原因があります。幅の狭い路地の奥にある旗竿地(はたざおち)、道に2m未満しか接していない土地、あるいは接している道が建築基準法上の「道路」として認められていない土地などが典型例です。当社にも「相続した実家が再建築不可だった」「買い手がなかなか付かない」といったご相談が寄せられます。
もっとも、再建築不可物件は「売れない物件」ではありません。隣地所有者への売却、隣地の一部購入による接道確保、リフォームによる賃貸活用、専門買取業者への現況売却、そして建築基準法43条2項の認定・許可の取得など、状況に応じた複数の「出口」が存在します。本記事では、再建築不可となる仕組みから5つの出口、価格や注意点までを客観的に整理します。
・再建築不可物件とは何か、なぜ建て替えができないのか(接道義務・建築基準法43条)
・自分の物件が再建築不可に該当するかの見分け方(旗竿地・42条2項道路・無接道)
・売却/活用の5つの出口と、それぞれのメリット・デメリット
・セットバックや隣地交渉、43条2項の認定・許可で再建築可能化する方法
・売却時の価格の傾向と、契約前に確認すべき注意点
☐ 旗竿地や路地奥の家を所有していて、将来の建て替えが不安
☐ 再建築不可でも少しでも高く・スムーズに手放したい
☐ 隣地との交渉や43条2項の救済制度について知っておきたい
☐ 賃貸活用と売却のどちらが自分に向いているか比較したい
目次
第1章:再建築不可物件とは何か(接道義務・なぜ建て替えができないのか)
第2章:自分の物件が該当するか(旗竿地・42条2項道路・無接道の見分け方)
第3章:売却・活用の5つの出口(比較表+各節)
第4章:再建築可能化する方法(セットバック・隣地・43条2項認定)
第5章:売却時の価格と注意点
第6章:よくある質問(Q&A)
まとめ
本記事は2026年7月時点の建築基準法・不動産実務にもとづく一般的な情報提供です。建築の可否や確認申請の要否は、土地の状況を踏まえた特定行政庁や建築審査会の個別判断に委ねられ、同じような土地でも結論が異なることがあります。実際の建て替えや売却を検討する際は、建築士・宅地建物取引士・司法書士等の専門家へ必ずご確認ください。
第1章:再建築不可物件とは何か
・再建築不可物件の定義と、現状のまま住み続けられるのか
・建て替えを妨げる「接道義務」の中身(建築基準法43条)
・接道義務が設けられている理由(防災・避難・緊急車両)
再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊して更地にした場合、その土地に新たな建物を建築できない(建築確認が下りない)土地を指す通称です。法律上「再建築不可」という区分が明記されているわけではなく、建築基準法の要件を満たさない結果として、建て替えが認められない状態を指します。
重要なのは、再建築不可であっても現在の建物にそのまま住み続けること自体は可能である点です。所有・居住・賃貸・売買を禁じられているわけではありません。あくまで「新築・改築(建て替え)」が制限される状態であり、大規模でない範囲のリフォームやリノベーションは行える場合があります。この違いを理解することが、出口を考える出発点になります。
建て替えを妨げる「接道義務」とは
建て替えを妨げる最大の要因が接道義務です。建築基準法43条は、建築物の敷地は原則として、幅員4m以上の「道路」に、2m以上接していなければならないと定めています。この要件を満たさない敷地には、原則として建物を新築できません。
建築基準法43条1項:「建築物の敷地は、道路(中略)に2メートル以上接しなければならない」。ここでいう「道路」は、原則として建築基準法42条に定める幅員4m以上のもの(同法42条1項)を指します。つまり「幅4m以上の道路に2m以上接する」ことが、建物を建てるための基本要件です。(建築基準法42条・43条。要件は特定行政庁の指定・判断により異なることがあります)
ここでの「道路に2m以上接する」とは、単に道に面していればよいという意味ではありません。敷地と道路が実際に幅2m以上でつながっている必要があります。例えば路地奥の旗竿地で、道路につながる通路部分(竿の部分)の幅が1.8mしかない場合、見た目は道に接していても接道義務を満たさず、再建築不可と判断されることがあります。
また、接している道が建築基準法上の「道路」に当たらないケースもあります。私道や昔からある通路の中には、幅が4m未満で、かつ後述する42条2項道路の指定も受けていない「未認定の通路」が存在します。この場合、その通路にいくら広く接していても、接道義務を満たす「道路」に接しているとは扱われません。
なぜ接道義務が設けられているのか
接道義務の目的は、防災・避難・救急活動の確保にあります。火災が起きたとき、消防車や救急車が敷地の近くまで進入できなければ消火・救助が遅れます。また、住民が安全に避難するためにも、一定幅の道路に接していることが求められます。幅4m・接道2mという基準は、こうした緊急時の安全を担保するために定められた最低ラインです。
接道義務は都市計画区域や準都市計画区域の内側で適用されるのが原則です。これらの区域外では接道義務が適用されない場合もありますが、別の規制が関わることもあります。ご自身の土地がどの区域に属するかは、市区町村の都市計画課や建築指導課で確認できます。
☑ 再建築不可物件とは、更地にすると建て替えができない土地。ただし現状での居住・売買は可能
☑ 原因の多くは接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する/建築基準法43条)の未達成
☑ 接道義務は防災・避難・緊急車両の進入を確保するための基準
第2章:自分の物件が再建築不可に該当するか
・再建築不可になりやすい3つの典型パターン(旗竿地・非道路接道・無接道)
・42条2項道路(みなし道路)とセットバックの関係
・自分で調べる方法と、専門家・役所で確認するポイント
自分の物件が再建築不可に該当するかどうかは、「どの道に、どれだけの幅で接しているか」を確認することでおおよそ判断できます。再建築不可になりやすい代表的なパターンは次の3つです。
パターン1:旗竿地で間口が2m未満
旗竿地(路地状敷地)とは、道路から細い通路(竿)が伸び、その奥にまとまった敷地(旗)が広がる形状の土地です。通路部分の幅(間口)が2m以上あれば接道義務を満たしますが、間口が2m未満だと再建築不可となる可能性が高くなります。古い分譲地や、相続で敷地を分割した土地に多く見られる形状です。
注意したいのは、通路の一部だけが2m以上あっても足りないという点です。道路から敷地までの通路全体にわたって、連続して幅2m以上が確保されている必要があります。途中で1.8mに狭まる箇所が1か所でもあれば、接道要件を満たさないと判断されることがあります。
パターン2:接している道が建築基準法上の道路でない
敷地が道に面していても、その道が建築基準法上の「道路」でなければ接道義務を満たしません。幅4m未満の古い通路や、位置指定を受けていない私道などが該当します。ここで鍵になるのが42条2項道路(みなし道路)の存在です。
建築基準法42条2項:建築基準法が適用された時点ですでに建物が建ち並んでいた幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したものは、法律上の道路とみなされます(通称「みなし道路」「2項道路」)。この場合、原則として道路の中心線から水平距離2m後退した線が道路の境界線とみなされ、後退した部分(セットバック部分)には建物や塀を建てられません。(建築基準法42条2項。指定の有無は特定行政庁により異なります)
つまり、接している道が42条2項道路に指定されていれば、セットバック(敷地の後退)を行うことで建て替えが可能になる場合があります。一方、42条2項道路の指定すら受けていない未認定の通路であれば、接道義務を満たさず再建築不可となるのが原則です。この「2項道路かどうか」は、役所で確認すべき最重要ポイントの一つです。
パターン3:どの道路にも接していない(無接道)
周囲を他人の土地に囲まれ、道路にまったく接していない土地は無接道(袋地・囲繞地)と呼ばれ、原則として再建築不可です。相続で敷地が細かく分割された結果、奥の区画が道路から切り離されてしまうケースなどが典型です。この場合は、隣地の一部購入や通行地役権の設定など、接道を新たに確保する手立てが必要になります。
自分で確認する方法
おおまかな確認は、次の手順で自分でも進められます。まず市区町村の窓口(建築指導課・道路管理課など)や、自治体が公開する「道路種別が調べられる地図情報(指定道路図・道路種別図)」で、前面道路が何号道路に当たるか、42条2項道路かどうかを確認します。次に、敷地の間口や通路幅を実測し、道路と2m以上接しているかを見ます。
| 確認項目 | 調べ方 | チェックの視点 |
|---|---|---|
| 前面道路の種別 | 役所の建築指導課・道路種別図 | 42条1項の道路か/2項道路か/非道路か |
| 道路の幅員 | 役所・現地の実測 | 4m以上あるか(2項道路は4m未満) |
| 敷地の接道幅(間口) | 登記・測量図・現地実測 | 道路に2m以上連続して接しているか |
| セットバックの要否 | 役所・測量 | 2項道路なら中心線から2m後退が必要か |
| 最終的な建築可否 | 建築士・特定行政庁への相談 | 個別判断のため専門家確認が前提 |
ただし、これらはあくまで目安です。最終的な建築の可否は特定行政庁の個別判断であり、道路の認定状況やセットバックの扱いは複雑なため、建築士や不動産会社を通じて役所に照会するのが確実です。当社でも、物件の接道状況の確認から出口の整理までをお手伝いしています。
☑ 該当しやすいのは「間口2m未満の旗竿地」「非道路に接する土地」「無接道の袋地」の3類型
☑ 42条2項道路(みなし道路)ならセットバックで建て替え可能になる場合がある
☑ 道路種別は役所で確認できるが、最終的な建築可否は特定行政庁の個別判断
第3章:売却・活用の5つの出口
・再建築不可物件の代表的な5つの出口を一覧比較
・各出口のメリット・デメリットと、向いているケース
・「そのまま売る」と「価値を上げてから売る」の考え方
再建築不可物件の出口は、大きく「そのままの状態で手放す」方向と、「接道や権利を改善して価値を上げてから活かす」方向に分かれます。代表的な5つの選択肢を、まず一覧で比較します。
| 出口 | 概要 | 主なメリット | 主な留意点 |
|---|---|---|---|
| ①隣地所有者へ売却 | 隣接地の持ち主に買ってもらう | 一体化で価値向上・相手も買う動機がある | 相手に購入意欲・資金が必要 |
| ②隣地の一部購入等で接道確保 | 隣地の一部購入・借地・通行地役権で接道要件を満たす | 再建築可能になり資産価値が上がる | 交渉・費用・時間がかかる |
| ③リフォームして賃貸活用 | 建て替えず大規模修繕の範囲で貸す | 売らずに収益化できる | 確認申請の要否・修繕費に注意 |
| ④専門買取業者へ現況売却 | 再建築不可を扱う業者に現況で売る | 早く確実に現金化・契約不適合の負担軽減 | 価格は相場より低くなりやすい |
| ⑤43条2項の認定・許可を取得 | 救済制度で建築可能化してから売る | 価値を上げて売れる可能性 | 認定・許可は個別判断で不確実 |
①隣地所有者へ売却する
最も自然な出口の一つが、隣地の所有者に売却する方法です。再建築不可の土地でも、隣の土地と一体化すれば接道条件が改善し、広い一つの敷地として建て替えや有効活用が可能になることがあります。隣地所有者にとっては、自分の土地の価値を高める投資になるため、第三者に売るよりも買い手が見つかりやすく、価格交渉が成立しやすい傾向があります。
とくに、こちらの土地を足すことで隣地の間口が広がり、相手側の再建築や増築がしやすくなるケースでは、双方にメリットのある取引になりやすいといえます。まずは隣接する土地の所有者を確認し、打診してみる価値があります。
②隣地の一部購入・借地・通行地役権で接道を確保する
売るのではなく、逆に隣地の一部を購入したり、借地・通行地役権を設定したりして接道要件を満たす方向です。例えば、道路に接する隣地の一部を幅2m確保できるよう買い取れば、再建築不可だった土地が再建築可能になり、資産価値が大きく高まる可能性があります。通行地役権や賃借による方法もありますが、建築確認上どこまで認められるかは個別判断となります。
接道を確保する目的での隣地取得は、購入する幅・位置・権利の形態によって建築確認上の評価が変わります。「買えば必ず再建築可能になる」とは限らないため、契約前に建築士・特定行政庁への確認が欠かせません。
③リフォーム・リノベーションして賃貸活用する
建て替えをあきらめ、現在の建物をリフォーム・リノベーションして賃貸に出すのも有力な出口です。再建築はできなくても、建て替えに当たらない大規模修繕・模様替えの範囲であれば工事を行える場合があり、内装を一新して賃貸住宅やシェアハウス、事務所などとして貸し出す活用が考えられます。立地が良ければ、売却せずに継続的な家賃収入を得られる点が魅力です。
大規模な修繕・模様替えや用途変更は、建築確認申請が必要になる場合があります。とくに主要構造部(柱・梁・屋根など)に及ぶ工事は、再建築不可物件では確認が下りず実施できないこともあります。どこまでの工事が可能かは、事前に建築士へ確認することをおすすめします。
④再建築不可専門の買取業者へ現況売却する
手間や時間をかけず早く手放したい場合は、再建築不可物件を専門に扱う買取業者へ現況のまま売却する方法があります。専門業者はリフォームによる再販や隣地との交渉、43条2項の活用などのノウハウを持ち、一般には売りにくい物件でも買い取ります。契約不適合責任を免除・軽減した条件で取引できるケースが多く、相続でスピーディに現金化したい場合に向いています。
一方で、業者は再販リスクや改修コストを織り込んで価格を提示するため、買取価格は接道良好な物件の相場より低くなりやすい点は理解が必要です。複数の専門業者に査定を依頼し、価格と条件を比較することが、納得のいく売却につながります。
⑤43条2項の認定・許可を取得して価値を上げてから売る
時間に余裕がある場合は、後述する建築基準法43条2項の認定・許可を取得し、建築可能な状態にしてから売却する方向も考えられます。再建築可能となれば買い手の幅が広がり、再建築不可のまま売るより高い価格が期待できる可能性があります。ただし認定・許可が下りるかは個別判断であり、取得できる保証はない点を踏まえて検討する必要があります。
☑ 出口は「隣地売却」「接道確保」「賃貸活用」「専門業者への現況売却」「43条2項取得」の5つ
☑ 早さ重視なら専門買取、価値重視なら接道確保や43条2項での可能化を検討
☑ どの出口も接道・確認申請の可否が絡むため、専門家への確認が前提
第4章:再建築可能化する方法
・セットバックによる建て替え(42条2項道路のケース)
・隣地の取得・権利設定で接道2mを確保する方法
・建築基準法43条2項の認定・許可(旧「43条但し書き」)の仕組み
再建築不可を「不可」のまま受け入れるのではなく、条件を整えて再建築可能な土地に変えることができれば、活用の幅も売却価格も大きく変わります。ここでは代表的な3つの方法を整理します。
方法1:セットバックによる建て替え(42条2項道路)
前面道路が42条2項道路(みなし道路)に指定されている場合は、セットバックを行うことで建て替えできる可能性があります。セットバックとは、道路の中心線から水平距離2m後退した線を新たな道路境界とみなし、その後退部分を敷地として使わずに空ける(建物・塀を建てない)ことをいいます。これにより、将来的に道路幅員4mを確保する仕組みです。
注意点は、セットバック部分は敷地面積に算入できないことです。建ぺい率・容積率の計算からその面積が除かれるため、建てられる建物の規模が想定より小さくなる場合があります。道路の反対側が川や崖の場合は、反対側の境界から4mを確保する形で後退距離が変わることもあり、扱いは特定行政庁により異なります。
方法2:隣地の取得・権利設定で接道2mを確保する
無接道や間口不足の土地では、隣地の一部を買い取る・借りる・通行地役権を設定することで接道義務(2m以上)を満たせるようにする方法があります。道路に接する部分を幅2m確保できれば、接道要件をクリアし再建築が可能になり得ます。
実務では、隣地所有者との交渉が最大のハードルになります。価格や範囲の折り合い、境界の確定、権利形態(所有権か地役権か)の選択など、検討事項が多岐にわたります。とくに建築確認上は所有権による取得が評価されやすい一方、地役権や賃借でどこまで認められるかは個別判断となるため、事前に特定行政庁へ確認しておくことが重要です。
方法3:建築基準法43条2項の認定・許可(旧「43条但し書き」)
接道義務を満たさない土地でも、一定の要件を満たせば例外的に建築が認められる救済制度があります。それが建築基準法43条2項の認定(1号)・許可(2号)です。2018年(平成30年)の法改正で、従来「43条但し書き」と呼ばれていた仕組みが43条2項1号の認定・2号の許可として整理されました。
建築基準法43条2項:
・1号(認定)…その敷地の周囲に広い空地を有するなど、国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めるもの。
・2号(許可)…敷地が農道等の公共の用に供する道に接する場合など、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの。
いずれも建て替えのつど個別に審査され、恒久的に建築可能と確定するものではありません。(建築基準法43条2項1号・2号。2018年改正で整理)
認定(1号)は比較的簡易な手続きで済むことがある一方、許可(2号)は建築審査会の同意を要するのが原則で、審査に一定の期間がかかります。周囲の空地の状況や道の性質など、土地ごとの条件が厳しく問われるため、認定・許可が下りるかどうかは特定行政庁・建築審査会の個別判断となります。「制度があるから必ず建てられる」とは限らない点に注意が必要です。
43条2項の認定・許可は、原則として建て替えのつど取得が必要とされ、一度取得すれば将来にわたり無条件に建築できるわけではありません。売却時には、買主が同様に認定・許可を得られる見込みかどうかが価格に影響します。
☑ 42条2項道路ならセットバックで建て替え可。ただし後退部分は敷地面積に算入されない
☑ 隣地の取得・権利設定で接道2mを確保できれば再建築可能になり得る
☑ 43条2項の認定・許可(旧但し書き)は救済策だが、下りるかは個別判断で確実ではない
第5章:売却時の価格と注意点
・再建築不可物件の価格の傾向と、価格差が生まれる理由
・売却前に確認・準備しておくべきポイント
・契約時に注意したい説明義務や契約不適合責任
価格の傾向
再建築不可物件は、接道条件を満たす一般的な物件に比べて価格が低くなりやすい傾向があります。将来建て替えができず、住宅ローンが付きにくいため買い手が限られること、リフォーム費用や活用の制約を買主が織り込むことが主な理由です。
具体的な水準は立地・面積・道路との位置関係・接道改善の見込みによって大きく異なり、一概にはいえませんが、接道良好な近隣相場より2〜5割程度低くなるケースもあるといわれます。逆に、隣地との一体化余地が大きい土地や、43条2項での可能化が見込める土地では、価格差が縮まることもあります。実際の価格は、必ず複数社の査定で確認することが大切です。
上記の「2〜5割程度低い」はあくまで一般的な傾向であり、個々の物件の評価額を保証するものではありません。同じ再建築不可でも、接道の改善余地や周辺需要によって評価は大きく変わります。
売却前に準備しておくこと
売却をスムーズに進めるには、事前の情報整理が有効です。前面道路の種別(42条何項か)、接道幅、セットバックの要否、43条2項の認定・許可の見込み、隣地所有者との関係などをあらかじめ確認しておくと、買主や業者との交渉が円滑になります。
| 準備項目 | 確認先 | 価格・売却への影響 |
|---|---|---|
| 道路種別・接道状況 | 役所(建築指導課) | 再建築可能化の可否を左右する最重要情報 |
| セットバックの要否 | 役所・測量 | 実際に使える面積・建築規模に影響 |
| 43条2項の見込み | 特定行政庁・建築士 | 可能化できれば価格上昇の余地 |
| 隣地所有者の意向 | 所有者への打診 | 隣地売却・接道確保の実現性 |
| 複数社の査定 | 仲介・専門買取業者 | 適正価格の把握・条件比較 |
契約時の注意点
再建築不可であることは、買主の判断に大きく影響する重要事項です。売却の際には、再建築不可である事実や接道の状況を正確に説明することが求められます。これを怠ると、後日トラブルや契約不適合責任を問われるおそれがあります。専門業者への現況売却では契約不適合責任を免除・軽減する条項が用いられることもありますが、個人間や一般仲介での売却では、告知と書面での明示が特に重要です。
また、税務面では、売却益に対する譲渡所得税や、相続した空き家を売る場合の特例など、個別の事情によって取り扱いが変わります。税務・法務の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士等の専門家へ必ずご確認ください。当社では、接道状況の確認から売却方法の選定、専門家との連携までを一貫してサポートしています。
☑ 再建築不可物件は一般に相場より安く、条件次第で2〜5割程度低くなるケースもある(傾向)
☑ 道路種別・セットバック・43条2項の見込み・隣地の意向を事前に整理しておく
☑ 再建築不可の事実は正確に説明。契約不適合責任や税務は専門家に確認する
第6章:よくある質問(Q&A)
・再建築不可物件をめぐる代表的な疑問への回答
・住み続けられるか、リフォームの範囲、住宅ローンの可否など
Q1:再建築不可物件に、このまま住み続けても問題はありませんか
A:現在建っている建物にそのまま住み続けること自体は可能です。再建築不可は「更地にして新築する」ことが制限される状態であり、居住や売買、賃貸を禁じるものではありません。ただし建物が老朽化して建て替えが必要になったとき、同じ場所に新築できない点は将来のリスクとして理解しておく必要があります。
Q2:どこまでのリフォームなら可能ですか
A:建て替えに当たらない大規模修繕・模様替えの範囲であれば行える場合があります。ただし主要構造部(柱・梁・屋根など)に及ぶ工事や用途変更は、建築確認申請が必要になり、再建築不可物件では確認が下りないこともあります。どこまで可能かは建物の構造や規模により異なるため、着工前に建築士へ確認することをおすすめします。
Q3:再建築不可物件でも住宅ローンは使えますか
A:一般に、再建築不可物件は担保評価が低く、住宅ローンの利用が難しくなる傾向があります。金融機関によって取り扱いは異なりますが、融資が付きにくいことが買い手を限定し、価格が下がる一因にもなっています。このため、現金購入や専門業者による買取が中心になりやすい市場です。
Q4:接道が2mギリギリなのですが、再建築できますか
A:道路に2m以上接していれば接道義務の形式的要件は満たしますが、前面道路が建築基準法上の道路であること、通路全体で幅2mが連続して確保されていることなど、他の条件も満たす必要があります。「ギリギリ2m」の場合は測量の精度でも結論が分かれ得るため、正確な実測と特定行政庁への確認が欠かせません。
Q5:43条2項の許可は、申請すれば必ず下りますか
A:必ず下りるわけではありません。43条2項の認定・許可は、周囲の空地の状況や道の性質などをもとに特定行政庁・建築審査会が個別に判断します。要件を満たさなければ認められず、取得できる保証はありません。売却や活用の計画を立てる際は、取得できない可能性も想定しておくことが安全です。
☑ 現状での居住・売買は可能だが、将来の建て替え不可はリスクとして理解する
☑ リフォームは大規模修繕の範囲まで。ローンは付きにくい傾向
☑ 接道2mギリギリや43条2項は個別判断。専門家・役所への確認が前提
まとめ:再建築不可でも「出口」は複数ある
再建築不可物件は、建築基準法の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する/43条)を満たさないために建て替えができない土地です。しかし「売れない」「使えない」わけではなく、隣地への売却、隣地取得による接道確保、リフォームによる賃貸活用、専門業者への現況売却、43条2項の認定・許可の取得という5つの出口が状況に応じて選べます。
大切なのは、まず自分の物件の接道状況を正確に把握し、「そのまま手放す」のか「価値を上げてから活かす」のかを見極めることです。前面道路の種別やセットバックの要否、43条2項の見込みは特定行政庁の個別判断が絡むため、早い段階で専門家に相談することが結果的に有利な出口につながります。
① 再建築不可の主因は接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接する/建築基準法43条)の未達成
② 出口は「隣地売却」「接道確保」「賃貸活用」「専門業者への現況売却」「43条2項取得」の5つ
③ 42条2項道路のセットバックや43条2項の認定・許可で可能化できることもあるが、可否は特定行政庁の個別判断
ヘリテージリンクでは、再建築不可物件を含む相続不動産・空き家について、接道状況の確認から売却方法の選定、専門家との連携までをサポートしています。「建て替えできないと言われた」「相続した実家をどうすべきか迷っている」といった段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
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本記事は2026年7月時点の建築基準法および不動産実務にもとづく一般的な情報提供であり、特定の物件の建築可否・売却可否・価格を保証するものではありません。接道義務の充足、セットバックの扱い、42条2項道路の指定、43条2項の認定・許可の可否、確認申請の要否などは、土地の状況を踏まえた特定行政庁および建築審査会の個別判断に委ねられ、同種の土地でも結論が異なることがあります。税務・法務の個別判断については、税理士・司法書士・弁護士・建築士・宅地建物取引士等の専門家へ必ずご確認ください。本記事の情報を用いて行われた判断・行為について、当社は責任を負いかねます。
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