親が所有する不動産を 子に売却したい、兄弟間で 持分を譲りたい ——こうした親族間売買は実務上よくあります。ただし 価格設定を誤ると贈与税が数百万円課税される 落とし穴があります。
本記事では、東京・埼玉エリアで親族間売買を年間30件以上扱うヘリテージリンクが、 適正価格の判定・贈与税回避の鉄則・住宅ローン審査の壁・住宅ローン控除の制限 を解説します。
✅ 適正価格は 時価の80%以上 が安全圏。それ以下は贈与認定リスク
✅ 親族間売買は 住宅ローン審査が厳しい。フラット35は使えても銀行は難色
✅ 住宅ローン控除は親族間売買では 適用条件が制限
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第1章 結論:時価80%ルールの真偽
1-1. 「時価80%」の出所
親族間売買では「時価の80%以上で売れば贈与税は課税されない」という都市伝説があります。これは過去の裁判例(東京地裁H19.8.23判決)に由来しますが、 絶対基準ではない ことに注意。
1-2. 適正価格の3つの判定軸
①不動産鑑定評価書(最強・25〜35万円)
②取引事例比較表(複数の不動産会社査定)
③路線価×公示価格(参考程度)
税務署対応では 不動産鑑定評価書 が最も強い。「鑑定額×80%以上」で売却なら贈与認定のリスクは低いです。
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第2章 贈与税の発生メカニズム
2-1. みなし贈与とは
時価より著しく低い価格で売買すると、 差額が贈与認定 される(相続税法7条「みなし贈与」)。
時価5,000万円の不動産を3,000万円で子に売却
→ 差額2,000万円が 子への贈与とみなされる
→ 贈与税:2,000万円 − 110万円(基礎控除)= 1,890万円 × 50% − 250万円 = 約695万円
2-2. 「著しく低い」の解釈
明文化された基準はなく、 個別事情・取引動機・市場性 から総合判断。一般に時価の80%未満は警戒、50%未満はほぼ確実に贈与認定。
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第3章 親族間売買の住宅ローン審査
3-1. なぜ審査が厳しいか
| 銀行の懸念 | 背景 |
|---|---|
| 価格操作リスク | 意図的な高値で過剰融資の温床 |
| 事業性ローン転用 | 住宅ローンを別目的に使用される懸念 |
| 担保価値の不確実性 | 市場流通実態の薄い物件 |
3-2. 通りやすいローン
| 金融機関 | 対応 |
|---|---|
| フラット35 | 基本対応可(要件あり) |
| 地方銀行・信金 | 個別相談(顔の見える関係性が鍵) |
| 都市銀行 | 原則NG(一部対応行あり) |
| ネット銀行 | 原則NG |
フラット35の取扱機関、または親族間売買に強い地銀・信金を最初から狙う。一般の都銀に申込→断られて時間ロスになりがち。
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第4章 住宅ローン控除の壁
親族間売買では住宅ローン控除の適用範囲が限定されます。
| 売買相手 | 住宅ローン控除 |
|---|---|
| 配偶者・直系血族(親・子) | 適用不可 |
| 生計を一にする親族 | 適用不可 |
| 3親等内親族(兄弟姉妹・伯叔父母) | 原則適用不可 |
| 従兄弟・遠縁 | 適用可(一般売買扱い) |
最も多いケース「親が所有する家を子が買う」は住宅ローン控除NG。年40万円×13年=520万円の損失。代替策として、子が一般市場で別物件購入+親に賃料を払う方法もあり。
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第5章 親族間売買の進め方
5-1. 6ステップ
| STEP | 内容 |
|---|---|
| 1 | 売買意思の明確化+税理士相談(贈与税確認) |
| 2 | 不動産鑑定 or 査定で適正価格算定 |
| 3 | 住宅ローン事前審査(必要時) |
| 4 | 売買契約書作成(仲介手数料は不要 or 司法書士関与) |
| 5 | 所有権移転登記+ローン実行 |
| 6 | 譲渡所得税の確定申告(売主) |
5-2. 費用相場
| 項目 | 相場 |
|---|---|
| 不動産鑑定評価書 | 25〜35万円 |
| 司法書士報酬(登記) | 8〜15万円 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×2% |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額×3% |
| 印紙税 | 1〜3万円 |
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第6章 ケーススタディ3本
6-1. 適正価格売買・成功例
父名義の戸建てを子(45歳)が購入。鑑定評価4,500万円→売買価格3,800万円(85%)。フラット35で融資、贈与認定なし、無事決済。
6-2. 低額売買・贈与認定例
時価6,000万円の自宅を子に2,000万円で売却。後日税務調査で4,000万円分が贈与認定 → 贈与税1,250万円課税。
6-3. 兄弟間持分買取・成功例
共有名義の戸建て(兄妹2人)で、妹の持分1/2を兄が買取。鑑定3,200万円の1/2 = 1,600万円で売買。妹側は譲渡所得税のみ、贈与なし。
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第7章 Q&A 6問
Q1. 親族間売買に仲介業者は必要?
A. 法的には不要。ただし契約書作成・適正価格判定・登記手続で司法書士+不動産会社の関与が安全。
Q2. 売却代金を分割払いにできる?
A. 可能。ただし利息相当が贈与とみなされないよう市場金利並みの利息設定が必要。
Q3. 親族間売買の譲渡所得税は通常通り?
A. 通常通り課税。3,000万円特別控除(マイホーム特例)は配偶者・直系血族間ではNG。
Q4. 低額売買で贈与認定された場合の救済策は?
A. 認定後の修正申告は厳しい。当初から適正価格設定が唯一の対策。
Q5. 親族間売買と相続どちらが税金安い?
A. ケースによる。小規模宅地特例使えば相続の方が有利なケース多数。税理士試算が必須。
Q6. 配偶者居住権との関係は?
A. 配偶者居住権が設定されていると、所有権だけ売買しても居住権は残る。複雑なので専門家相談。
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まとめ
1. 適正価格は時価80%以上。鑑定書取得で根拠補強
2. 住宅ローン審査は厳しい。フラット35・地銀・信金から狙う
3. 住宅ローン控除は直系血族・生計同親族でNG
※本記事は2026年6月時点の法令・税制に基づきます。
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