相続した実家やご親族の空き家を売却したとき、多くのオーナー様が直面するのが「譲渡所得税」の問題です。売れた金額がそのまま手元に残るわけではなく、利益の部分には所得税・住民税が課されます。ところが、この譲渡所得の計算は仕組みが複雑で、知らないまま申告して税金を払い過ぎてしまうケースが少なくありません。

特に相続した空き家の場合、購入時の契約書が見つからず取得費が分からない、長期と短期で税率が倍近く変わる、使える特別控除を見落とす、といったつまずきが集中します。一方で、相続空き家には3,000万円の特別控除取得費加算の特例といった、税負担を大きく軽くできる制度が用意されています。

本記事では、ヘリテージリンクが東京・埼玉エリアで相続不動産のご相談に対応してきた経験をもとに、相続した空き家を売ったときの税金の仕組みを、国税庁の一次情報に基づいて体系的に解説します。計算式・税率・特例の要件・併用可否までを、具体的な計算例とともに整理しました。

💡 この記事でわかること
・譲渡所得の計算式と長期・短期の税率の違い
・相続空き家で使える3つの特例(3,000万円控除/取得費加算/概算取得費)の要件と併用可否
・具体的な3ケースでの税額シミュレーション
・払い過ぎを防ぐためのチェックポイントとQ&A
☐ 相続した実家・空き家を売却した(または売却予定)
☐ 譲渡所得税がいくらかかるのか知りたい
☐ 購入時の契約書が見つからず取得費が分からない
☐ 3,000万円特別控除が使えるか確認したい
☐ できるだけ税金を抑えて売却したい

目次

第1章 譲渡所得の基礎知識(計算の仕組み・長期短期・税率)
第2章 相続空き家の譲渡でつまずく点と払い過ぎリスク
第3章 使える3つの特例(3,000万円控除/取得費加算/概算取得費)
第4章 ケース別シミュレーション×3
第5章 よくあるご質問 Q&A
第6章 ヘリテージリンクの対応サービス
まとめ

🚨 重要な注意
本記事の税率・控除額・要件は国税庁タックスアンサー等の一次情報に基づいて2026年6月時点で整理したものです。税法は改正される場合があり、個別の事情により適用可否や税額は異なります。実際の申告にあたっては必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務アドバイスではありません。

第1章 譲渡所得の基礎知識|計算の仕組みと税率

🎯 この章で解説すること
・譲渡所得とは何か、その計算式
・長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分基準
・それぞれにかかる税率(所得税・住民税・復興特別所得税)

1-1. 譲渡所得とは|売却価格そのものに課税されるわけではない

不動産を売却して得た利益を、税法上「譲渡所得」と呼びます。誤解されやすいのですが、課税の対象は売却価格そのものではなく、売却によって生じた利益(もうけ)の部分です。つまり、いくらで売れたかから、その不動産を手に入れるためにかかった費用や売るためにかかった費用を差し引いた残りが課税対象になります。

譲渡所得は、給与所得などとは合算せずに別個に税額を計算する「分離課税」という仕組みが取られています。基本となる計算式は次のとおりです。

📖 譲渡所得の計算式(国税庁タックスアンサー No.3208 等)
「課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除」

それぞれの用語の意味を整理します。

項目 内容
譲渡価額 不動産が売れた金額(売買代金)
取得費 その不動産を取得するためにかかった費用。購入代金・建築代金・購入手数料・登録免許税・不動産取得税など。建物は減価償却費相当額を差し引く
譲渡費用 売却のためにかかった費用。仲介手数料・印紙税・建物の取壊し費用・測量費など
特別控除 一定の要件を満たす場合に差し引ける控除(相続空き家の3,000万円控除など)

取得費に含められる費用は意外と広く、購入代金だけでなく、登録免許税・不動産取得税・印紙税といった取得時の税金、測量費、所有権を確保するための訴訟費用なども対象になります(国税庁タックスアンサー No.3252)。ただし、建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費となる点に注意が必要です。

譲渡費用についても、見落としやすい項目があります。仲介手数料や印紙税はもちろん、空き家を取り壊して土地として売る場合の建物解体費用、境界を確定するための測量費、売買契約のために支払った費用なども譲渡費用として認められます。これらを正しく計上することで、課税対象となる譲渡所得を適正に圧縮できます。

逆に、固定資産税や物件の維持管理にかかった費用、住宅ローンの利息(使用開始後の分)などは、原則として取得費にも譲渡費用にも含められません。何が経費になり何がならないかの線引きは判断が分かれる場面もあるため、領収書や契約書は売却前に整理しておくことをおすすめします。

⚠️ 注意
取得費は「土地+建物」を合算して計算しますが、建物部分は経年により価値が減少したとみなされ、減価償却分が取得費から差し引かれます。そのため、購入価格がそのまま取得費になるわけではありません。

1-2. 長期譲渡所得と短期譲渡所得|5年で税率が大きく変わる

譲渡所得には、不動産の所有期間によって2つの区分があり、税率が大きく異なります。これが計算上もっとも重要なポイントの一つです。

📖 所有期間の区分(国税庁タックスアンサー No.3208 / No.3211)
「譲渡した年の1月1日現在において所有期間が5年を超えるもの=長期譲渡所得、5年以下のもの=短期譲渡所得」

注意したいのは、所有期間の判定が「売却した年の1月1日時点」で行われる点です。実際の売却日ではなく、その年の元日において5年を超えているかどうかで判定します。例えば2020年6月に取得し2025年8月に売却した場合、実際には5年2か月所有していても、2025年1月1日時点では所有期間が4年強であり「短期」と判定されます。

1-3. 税率|長期と短期でほぼ倍違う

長期・短期それぞれの税率は次のとおりです。いずれも所得税には別途復興特別所得税が上乗せされます。

区分 所有期間(売却年1/1時点) 所得税 住民税 合計(復興税込み概算)
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 約20.315%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 約39.63%

復興特別所得税は、平成25年から令和19年(2037年)まで、各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて納める制度です(国税庁タックスアンサー No.3208)。したがって長期の所得税15%に対しては「15%×2.1%=0.315%」が上乗せされ、合計の税率は約20.315%になります。

💡 ポイント
長期(約20.315%)と短期(約39.63%)では税率がほぼ倍違います。所有期間が5年前後の場合、売却のタイミングを1月1日基準で見極めるだけで税負担が大きく変わるケースがあります。

1-4. 相続した不動産の所有期間は「被相続人の取得時」から数える

分離課税であることのメリットも押さえておきましょう。譲渡所得は給与など他の所得と合算されないため、たとえ大きな売却益が出ても、その年の給与に対する所得税率が跳ね上がるといったことはありません。譲渡所得には譲渡所得用の税率(長期・短期)が適用される、独立した計算になります。この点を理解しておくと、売却益の手取りを見積もりやすくなります。

相続した空き家を売却する場合、所有期間で重要なルールがあります。相続によって取得した不動産は、原則として被相続人(亡くなった方)が取得した日を引き継ぐとされています。相続した日からカウントするわけではありません。

そのため、親が何十年も前に購入した実家を相続して売却する場合、相続から間もなくても所有期間は「長期」と判定されることがほとんどです。多くの相続空き家の売却では、税率の高い短期譲渡にはなりにくいといえます。取得費の引き継ぎについても同様で、被相続人が支払った購入代金が取得費の基礎になります。

✅ 本章のまとめ
☑ 譲渡所得=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除
☑ 所有期間は売却年の1月1日時点で判定し、5年超で長期(約20.315%)・5年以下で短期(約39.63%)
☑ 相続不動産は被相続人の取得日・取得費を引き継ぐため、長期になることが多い

第2章 相続空き家の譲渡でつまずく点と払い過ぎリスク

🎯 この章で解説すること
・相続空き家の譲渡所得計算でつまずきやすい3つの点
・取得費が分からないことで生じる払い過ぎリスク
・空き家を取り巻く社会的背景と税制の関係

2-1. つまずき①|購入時の契約書が見つからず取得費が不明

相続空き家の譲渡所得計算で最も多いつまずきが、取得費を証明する書類がないという問題です。親や祖父母が数十年前に購入した実家では、売買契約書や領収書が残っていないことが珍しくありません。

取得費が不明な場合、税法では「譲渡価額の5%」を取得費とみなす「概算取得費」という方法が認められています(後述)。しかし、実際の取得費が5%より高かったとしても証明できなければ5%しか計上できず、結果として譲渡所得が大きく膨らみ、税金が増えてしまうリスクがあります。

🚨 重要な注意
例えば3,000万円で売れた土地建物の取得費が概算取得費(5%)の150万円しか認められない場合、譲渡費用を差し引いても2,800万円前後が課税対象になりかねません。特例を使わなければ、長期でも500万円を超える税額になることがあります。取得費を裏づける資料の有無は、税額を左右する決定的な要素です。

2-2. つまずき②|使える特例を見落とす

相続空き家には、税負担を大きく軽減できる特例が複数用意されています。代表的なものが「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」と「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」です。

これらは要件が細かく、適用期限も定められているため、知らないまま通常の方法で申告してしまうと、本来軽くできたはずの税金をそのまま納めてしまうことになります。特に3,000万円特別控除は、適用できれば譲渡所得から最大3,000万円を差し引けるため、多くのケースで税額がゼロまたは大幅減になります。

2-3. つまずき③|特例同士の併用・選択を誤る

特例は複数ありますが、すべてを同時に使えるわけではありません。中にはどちらか一方しか選べない(選択適用)関係にあるものもあります。代表的なのが、空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例です。この2つは併用できず、どちらが有利かを試算したうえで選ぶ必要があります。

判断を誤ると、本来より高い税金を納めることになりかねません。後述する第3章で、それぞれの要件と併用可否を比較表で整理します。

2-4. 背景|増え続ける空き家と税制の役割

総務省「住宅・土地統計調査(2023年)」によれば、全国の空き家は約900万戸に達し、総住宅数に占める空き家率は過去最高の水準となっています。相続を機に空き家化する住宅も多く、放置されれば管理コストや固定資産税の負担、近隣トラブルにつながります。

こうした背景から、国は相続した空き家の売却・活用を後押しするため、空き家の3,000万円特別控除を設け、適用期限も令和9年(2027年)12月31日まで延長しています。税制を正しく理解することは、空き家問題への対処と、オーナー様ご自身の手取りを守ることの両面で意味があります。

空き家を売らずに保有し続けると、固定資産税・都市計画税の負担に加え、草木の管理や老朽化対策の費用がかかり続けます。さらに、管理が行き届かず「特定空家等」に指定されると、住宅用地の固定資産税の軽減特例が外れ、税負担が大幅に増えることもあります。売却・処分の判断は、こうした保有コストと税制の期限を踏まえて検討することが合理的です。

✅ 本章のまとめ
☑ 取得費を証明できないと概算取得費5%しか使えず、税金が膨らむリスクがある
☑ 3,000万円特別控除など使える特例を見落とすと払い過ぎになる
☑ 特例には併用できない組み合わせがあり、有利判定が欠かせない

ここまでで「どこでつまずきやすいか」が見えてきました。次章では、それらのつまずきを解消する具体的な特例を一つずつ確認していきます。ご自身のケースで使えそうかどうか、要件に照らしながらお読みください。判断に迷う場合は、お気軽に無料相談をご利用いただけます。

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第3章 使える3つの特例|3,000万円控除・取得費加算・概算取得費

🎯 この章で解説すること
・特例A 相続空き家の3,000万円特別控除(要件・期限・控除額)
・特例B 相続財産の取得費加算の特例(要件・計算)
・特例C 概算取得費5%の判断
・3つの特例の併用可否と比較表

特例A|相続空き家の3,000万円特別控除(措置法35条3項)

被相続人が住んでいた家屋(空き家)とその敷地を相続し、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。租税特別措置法第35条第3項に定められています。控除額が大きいため、相続空き家売却では最も影響の大きい特例です。

📖 被相続人居住用財産の特別控除(国税庁タックスアンサー No.3306 / 租税特別措置法第35条第3項)
主な要件:
① 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること
② 区分所有建物登記がされている建物でないこと
③ 相続開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
④ 売却時に一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売却すること
⑤ 平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの間に売却すること

特に注目すべき点を補足します。要件①により対象は旧耐震基準の古い家屋に限られます。要件④では、現状の家屋が耐震基準を満たさない場合でも、譲渡日の翌年2月15日までに耐震改修を行うか、家屋を全部取り壊して敷地として売却すれば適用が可能です。実務上は取壊して更地で売却するケースが多く見られます。

⚠️ 注意(控除額の改正)
令和6年(2024年)1月1日以後の売却では、その空き家を相続した相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小されます。2人以下の場合は従来どおり3,000万円です(国税庁タックスアンサー No.3306)。

この特例を受けるには、確定申告書に被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が交付)や耐震基準適合証明書などの書類を添付する必要があります。要件と書類が細かいため、適用可否は早めに専門家へご確認いただくことをおすすめします。

また、被相続人が相続開始の直前に老人ホーム等へ入所していた場合でも、一定の要件を満たせば「居住していた」とみなして特例の対象になる取り扱いがあります。入所の状況によって判断が分かれるため、該当しそうなオーナー様は個別に確認することが大切です。さらに、この特例は売却代金(譲渡対価)が1億円以下であることも要件とされており、高額物件では適用できないことがあります。

🚨 重要な注意
3,000万円特別控除と住宅ローン控除など、他の住宅関連特例との関係や、売却代金1億円以下要件の判定(同一の被相続人居住用家屋を複数回に分けて譲渡した場合の合算など)には細かいルールがあります。要件の一つでも欠けると特例全体が使えなくなることがあるため、適用前に必ず税理士・税務署にご確認ください。

特例B|相続財産の取得費加算の特例(措置法39条)

相続税を納めた方が、相続した財産を一定期間内に売却した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例です。取得費が増えれば譲渡所得が減り、税負担が軽くなります。租税特別措置法第39条に定められています。

📖 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(国税庁タックスアンサー No.3267 / 租税特別措置法第39条)
主な要件:
① 相続・遺贈により財産を取得し、相続税が課税されていること
② 相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡すること
加算額:その者の相続税額のうち、譲渡した財産に対応する部分の金額(譲渡益が上限)

ポイントは2つです。第一に、相続税を実際に納めていることが前提です。基礎控除内で相続税がかからなかった場合は、この特例は使えません。第二に、売却の期限が「相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)の翌日以後3年」と定められており、相続開始からおおむね3年10か月以内の売却が条件になります。

加算できる金額は、その人が納めた相続税額のうち、売却した不動産に対応する部分です。具体的には、相続税額に「譲渡した財産の相続税評価額 ÷ その人が取得した財産全体の課税価格」の割合を乗じて計算します。ただし、加算額がその売却の譲渡益を超える場合は、譲渡益相当額が上限となります(国税庁タックスアンサー No.3267)。相続財産全体に占める当該不動産の割合が大きいほど、加算効果も大きくなる傾向があります。

💡 ポイント
取得費加算は「相続税を納めた人」向けの特例です。相続税が発生しなかった方や、相続から長期間が経過した方は対象外となります。相続税の有無と売却時期がカギになります。

特例C|概算取得費5%の判断(措置法31条の4)

取得費が分からない、または実際の取得費が売却価格の5%より低い場合、譲渡価額の5%を取得費とみなすことができます(国税庁タックスアンサー No.3258)。これを概算取得費といいます。

注意すべきは、これは「取得費を有利にする特例」ではなく、あくまで実額が証明できないときの最終手段だという点です。先祖代々の土地など実際の取得費が極めて低い場合には5%のほうが有利になりますが、本来もっと高い取得費があったのに書類がなく5%しか使えない、というのは不利な状況です。

⚠️ 注意
契約書が見つからなくても、購入当時の通帳の記録、住宅ローンの償還表、登記時の書類、購入時のパンフレットや分譲時の価格資料などから取得費を合理的に推計できる場合があります。すぐに5%と決めず、まずは資料を探すことが税額を抑える第一歩です。実際の認定は税務署・税理士の判断によります。

3つの特例の併用可否と比較

最も重要なのが、3,000万円特別控除(A)と取得費加算(B)は併用できないという点です。空き家の3,000万円特別控除は、取得費加算の特例など他の特例の適用を受けていないことが要件とされているためです(国税庁タックスアンサー No.3306)。どちらか有利な方を選択します。一方、概算取得費(C)は取得費の計算方法なので、AともBとも組み合わせられます。

特例 効果 主な要件 期限 併用
A 3,000万円特別控除 譲渡所得から最大3,000万円控除 1981/5/31以前建築・区分所有以外・被相続人が一人で居住・耐震改修or取壊し 2027/12/31まで Bと併用不可(選択)
B 取得費加算 納めた相続税の一部を取得費に加算 相続税を納付・申告期限翌日以後3年以内に譲渡 相続開始から約3年10か月以内 Aと併用不可(選択)
C 概算取得費5% 取得費を譲渡価額の5%とみなす 実際の取得費が不明、または5%より低い 期限なし A・Bと併用可
💡 ポイント
多くの相続空き家では、控除額の大きいA(3,000万円特別控除)のほうが有利になりやすい傾向があります。ただし要件を満たさない場合や、相続税を多く納めた場合はBが有利になることもあるため、両方を試算して選ぶのが基本です。節税につながるケースがありますが、最終判断は必ず税理士にご確認ください。

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特例の併用や有利判定をさらに詳しく知りたいオーナー様は、空き家の3,000万円特別控除の完全マニュアルもあわせてご覧ください。要件と必要書類をより細かく解説しています。

✅ 本章のまとめ
☑ A 3,000万円特別控除は要件を満たせば最も効果が大きい(2027年末まで)
☑ B 取得費加算は相続税を納め、約3年10か月以内に売る人向け
☑ AとBは併用不可で選択、概算取得費Cは取得費の計算方法として併用可

第4章 ケース別シミュレーション|具体的な計算例

🎯 この章で解説すること
・3,000万円特別控除を使えるケースの税額
・取得費が不明で概算取得費を使うケース
・取得費加算と特別控除を比較するケース
🚨 重要な注意
以下の計算例は仕組みの理解を目的とした簡略モデルです。仮名・地域はぼかしています。実際は取得費の内訳、減価償却、各種要件の充足、その他の所得状況などにより税額は変わります。個別の税額は必ず税理士にご確認ください。

ケース1|3,000万円特別控除が使えた場合

📋 ケース:A様(60代・東京都区部)
昭和50年代に建てられた一人暮らしだった母の実家を相続。建物を取り壊して更地にし、2,800万円で売却。取得費は概算取得費5%(140万円)、譲渡費用(解体費・仲介手数料等)は260万円。3,000万円特別控除の要件を満たす。

譲渡所得を計算します。

項目 金額
譲渡価額 2,800万円
取得費(概算5%) 140万円
譲渡費用 260万円
特別控除前の譲渡所得 2,800−140−260=2,400万円
3,000万円特別控除 △2,400万円(所得が上限)
課税譲渡所得 0円 → 税額0円

特別控除前の譲渡所得2,400万円が、控除枠3,000万円の範囲内に収まるため、課税譲渡所得は0円、譲渡所得税も0円になります。特例を使わなければ、長期譲渡として約480万円(2,400万円×約20.315%)の税負担が生じていた計算です。控除の有無で結果が大きく変わることがわかります。

ケース2|取得費が不明・特例が使えない場合

📋 ケース:B様(50代・埼玉県南部)
親が居住していなかった(賃貸に出していた)家屋を相続し、4,000万円で売却。3,000万円特別控除の要件(被相続人が居住していたこと)を満たさず、相続税も発生していなかったため取得費加算も使えない。購入時の契約書は見つからず取得費は概算5%。所有期間は被相続人取得分を引き継ぎ長期。
項目 金額
譲渡価額 4,000万円
取得費(概算5%) 200万円
譲渡費用 160万円
課税譲渡所得 4,000−200−160=3,640万円
税額(長期 約20.315%) 約739万円

特例が使えないと、3,640万円に対し約739万円の税負担となります。もし購入当時の契約書や価格資料が見つかり、実際の取得費が2,000万円だったと証明できれば、課税譲渡所得は1,840万円まで下がり、税額は約374万円へと半減します。取得費の証拠資料を探す価値が極めて大きいことを示すケースです。

ケース3|特別控除と取得費加算を比較した場合

📋 ケース:C様(40代・東京都多摩地域)
相続税を約500万円納付。被相続人が一人で居住していた旧耐震の実家を取り壊して5,000万円で売却。取得費は概算5%(250万円)、譲渡費用350万円。Aの3,000万円控除とBの取得費加算(譲渡資産対応分300万円と仮定)のどちらが有利かを比較。
項目 A 3,000万円控除 B 取得費加算
譲渡価額 5,000万円 5,000万円
取得費 250万円 250+300=550万円
譲渡費用 350万円 350万円
特別控除 △3,000万円 なし
課税譲渡所得 1,400万円 4,100万円
税額(長期 約20.315%) 約284万円 約833万円

このケースでは、控除額の大きいA(3,000万円特別控除)が約549万円有利という結果になりました。一般に3,000万円控除のほうが効果が大きくなりやすいものの、相続税を多額に納めた場合や控除要件を満たさない場合はBが有利になることもあります。両方を試算して選ぶことが大切です。

✅ 本章のまとめ
☑ 3,000万円控除が使えれば税額ゼロになるケースもある
☑ 取得費を証明できるかどうかで税額が倍近く変わる
☑ AとBは試算して有利な方を選択する

第5章 よくあるご質問 Q&A

🎯 この章で解説すること
相続空き家の売却と税金について、オーナー様から多く寄せられるご質問にお答えします。

Q1. 売却して赤字(譲渡損失)になった場合も税金はかかりますか?

A. 譲渡所得がマイナス(取得費+譲渡費用が譲渡価額を上回る)の場合、譲渡所得税はかかりません。ただし相続空き家の譲渡損失は、原則として給与所得など他の所得との損益通算はできない点にご注意ください。

Q2. 確定申告はいつ必要ですか?

A. 不動産を売却して譲渡所得が生じた年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告が必要です。特例を使って税額が0円になる場合でも、特例の適用を受けるには確定申告が必須です。申告しなければ特例は受けられません。

Q3. 購入時の契約書がありません。取得費はどうなりますか?

A. 原則は譲渡価額の5%(概算取得費)になりますが、通帳の記録や住宅ローンの償還表、当時の価格資料などから合理的に取得費を推計できる場合があります。まずは資料を探すことをおすすめします。詳しくは相続税申告と不動産評価の解説記事もご参照ください。

Q4. 3,000万円特別控除は相続人それぞれが使えますか?

A. 共有で相続して共同売却した場合、各相続人が要件を満たせばそれぞれ控除を受けられる仕組みです。ただし令和6年以後の売却で相続人が3人以上の場合は、1人あたりの上限が2,000万円に縮小されます。

Q5. 取り壊さずに家屋付きのまま売却しても特別控除は使えますか?

A. 家屋付きで売る場合は、その家屋が一定の耐震基準を満たしていることが要件です。旧耐震の家屋が多いため、実務では耐震改修を行うか、取り壊して更地で売却するケースが一般的です。

Q6. 相続してから何年以内に売れば特例が使えますか?

A. 3,000万円特別控除は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が要件です。取得費加算は相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続開始からおおむね3年10か月以内)が要件です。いずれも期限管理が重要です。

Q7. 相続税を払っていなくても取得費加算は使えますか?

A. いいえ。取得費加算の特例は相続税を実際に納めた方が対象です。基礎控除内で相続税がかからなかった場合は適用できません。その場合は3,000万円特別控除の活用を検討します。

Q8. 兄弟で相続した空き家を売るとき、税金はどう分けますか?

A. 共有持分に応じて、それぞれが自分の持分に対応する譲渡所得を計算し、各自で確定申告します。特例の適用も各自で判断します。遺産分割の方法によって税額が変わることもあるため、売却前の検討が有効です。関連して相続した実家を売却する3つの方法も参考になります。

Q9. 売却価格はどうやって決まりますか?査定は無料ですか?

A. 売却価格は立地・面積・築年数・市場動向などから算定します。ヘリテージリンクでは無料査定を承っており、仲介と買取の両方をご提案できます。買取と仲介の違いを比較した記事もご覧ください。

Q10. 税額の試算だけお願いすることはできますか?

A. はい。売却のご相談とあわせて、想定される税負担の概算をご案内できます。正式な税額計算・申告は提携の税理士をご紹介し、専門家が対応します。

Q11. 売却益が出たのに申告しなかったらどうなりますか?

A. 譲渡所得が生じているのに申告しないと、後日、無申告加算税や延滞税が課されるおそれがあります。不動産の売買は登記情報などから把握されやすいため、適正な申告が重要です。特例で税額が0円になる場合でも、申告そのものは必要です。

Q12. 住んでいない実家を相続後すぐ売るのと、しばらく置いてから売るのでは税金が変わりますか?

A. 所有期間は被相続人の取得日を引き継ぐため、保有期間の長短で長期・短期が変わることは通常ありません。ただし、3,000万円特別控除(相続開始から3年を経過する日の属する年の年末まで)や取得費加算(約3年10か月以内)には期限があるため、置きすぎると特例を逃すリスクがあります。期限内の売却が有利になりやすい点にご注意ください。

✅ 本章のまとめ
☑ 特例で税額0円でも確定申告は必須
☑ 特例には相続開始からの期限がある
☑ 兄弟共有の場合は持分ごとに計算・申告する

第6章 ヘリテージリンクの対応サービス|東京・埼玉の相続不動産

🎯 この章で解説すること
・ヘリテージリンクが対応する相続空き家のサービス
・対応エリアと売却の流れ
・無料査定・無料相談のご案内

6-1. 査定・売却・引取まで一貫対応

ヘリテージリンクは、相続した空き家のお悩みに対し、査定・売却(仲介/買取)・引取まで一貫してご相談を承っています。「3,000万円控除が使えるか分からない」「取得費の資料がない」「兄弟で意見がまとまらない」といったケースでも、状況を整理しながら最適な進め方をご提案します。

税務に関わる部分は、提携する税理士と連携し、専門家が正確に対応します。当社が窓口となり、不動産と税務の両面からオーナー様をサポートいたします。

6-2. 対応エリア

主な対応エリアは東京都および埼玉県です。都区部・多摩地域、埼玉県南部を中心に、相続空き家の査定・売却のご相談を多数いただいています。遠方にお住まいで現地に行きづらいオーナー様も、状況に応じてオンラインでのご相談に対応しています。

6-4. 売れにくい空き家は「引取」という選択肢も

立地や状態によっては、通常の仲介では買い手が見つかりにくい空き家もあります。そうした処分が難しい不動産についても、当社は引取を含めた相談を承っています。「売れないまま固定資産税と管理の負担だけが続く」という状況を解消するための選択肢を、物件ごとにご提案します。

売却・引取いずれの場合も、譲渡所得が発生するかどうか、特例が使えるかどうかは事前に整理しておくことが大切です。手取りと税負担の見通しを立てたうえで、納得して進めていただけるようサポートします。

6-3. ご相談から売却までの流れ

STEP 内容
①お問い合わせ フォームから無料相談・無料査定をお申し込み
②ヒアリング・査定 物件状況・相続の状況をうかがい、査定額をご提示
③方針のご提案 仲介/買取/引取、特例の活用可否(税理士連携)をご案内
④売却活動・契約 解体や測量が必要な場合の段取りも含めて進行
⑤決済・確定申告サポート 引き渡し後、確定申告に必要な書類整理をサポート
💡 ポイント
相続空き家は、3,000万円特別控除の適用期限(2027年末)や相続開始からの期限があります。「いつか」と先延ばしにすると特例を逃すこともあるため、早めのご相談がおすすめです。

まずは物件の価値を把握したいオーナー様は、無料査定からお気軽にお問い合わせください。

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✅ 本章のまとめ
☑ 査定・売却・引取まで一貫対応、税務は税理士と連携
☑ 対応エリアは東京都・埼玉県が中心
☑ 特例の期限があるため早めの相談が有効

まとめ|相続空き家の税金は「仕組みの理解」と「期限管理」がカギ

相続した空き家を売却したときの譲渡所得税は、仕組みを理解し、使える特例を正しく適用すれば、税負担を大きく軽くできる可能性があります。逆に、取得費の資料を探さなかったり特例を見落としたりすると、本来払わなくてよい税金まで納めてしまうことになりかねません。

💡 本記事の要点(3つ)
① 譲渡所得=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除。所有期間5年超で長期(約20.315%)
② 相続空き家は3,000万円特別控除(2027年末まで)・取得費加算・概算取得費を活用できる。AとBは選択
③ 取得費の証拠資料探しと、相続開始からの期限管理が税額を左右する

税額や特例の適用可否はご事情によって異なります。ヘリテージリンクでは、相続空き家の査定・売却から、税理士と連携した特例の活用まで、東京・埼玉エリアでオーナー様をサポートしています。「自分のケースではどの特例が使えるのか」を知りたい方は、まず無料相談をご利用ください。

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🚨 免責事項
本記事は2026年6月時点の国税庁タックスアンサー等に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務・法務アドバイスではありません。税制は改正される場合があります。実際の申告・税額計算は、必ず税理士または所轄税務署にご確認ください。

運営:ヘリテージリンク株式会社|東京・埼玉エリアの相続不動産・空き家の査定・売却・管理

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